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ハッピークローバー

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第百五十五話 他人の幸せその四

「描いていたみたいよ」
「そうなのね」
「私も思うわよ」
 留奈自身もというのだ。
「ずっと漫画ばかり描いていて」
「滅茶苦茶忙しくて」
「アニメもやって」 
 担当部署を何処にするかという会議ではしょっちゅう自分から手を挙げてやると言って実際にそうしていたというのだ。
「漫画描くのに資料も読んで」
「そりゃ不眠不休になるわね」
「徹夜ばかりの状況で」 
 その為手塚治虫は過労死したという人もいる。
「そんな生活だったのよ」
「もう脇目降らずって感じね」
「眠くなったら床に段ボール敷いて」
 そうしてというのだ。
「十五分だけ寝るとか」
「滅茶苦茶ね」
「そんな生活だったけれど」
「しかもヒット作どんどん出して」
「漫画家といえばこの人っていう位にね」
 戦後日本でというのだ。
「言われる人だったわ」
「漫画の神様とかね」
「当然収入も凄かったし」
 漫画の単行本が売れてアニメ化やグッズ化もあってだ。
「それでね」
「凄かったわね」
「そんな風だったけれど」
「嫉妬してたのね」
「まあ自分がまだまだって思ってるから」
 だからだというのだ。
「嫉妬してたのかもね」
「相手の人が凄いって」
「そう思ってね」 
 野球漫画、自分が描かない分野の人にも嫉妬していたという。だがその反面その人達とも親しく付き合い梶原一騎に作画をしたいとも言っていたらしい。
「努力していたみたいよ」
「嫉妬を努力に変えたのね」
「さらにね」
「嫉妬はよくないけれど」
 かな恵はそれでもと言った。
「けれどね」
「そこから努力したらね」
「いいわね、私も手塚さんのこと聞いたことあるけれど」
「嫉妬していたって?」
「そのお話じゃなくてね」
 そうであってというのだ。
「面倒見がよくて意地悪なんてしない」
「そんな人だったの」
「悪い人じゃなかったのよ」
「そうだったのね」
「時々締め切りから逃げたしだそうだけれど」 
 東京から熊本まで逃げたこともあったらしい。
「それでもね」
「基本いい人で」
「意地悪とかいじめはね」
「しなかったのね」
「嫉妬していてもね」
「まあ普通そんなに忙しかったら」
 それならとだ、一華は言った。
「いじめとかはね」
「する余力ないわね」
「何でもいじめするにもね」
 醜いこの行為もというのだ。
「余力とか暇がないとね」
「出来ないのね」
「だからいじめする奴はね」
「暇ね」
「そうよ、手塚さんはまだ嫉妬しても」
「それを努力に変えて」
「元々そういうことする人じゃなくて」
 そうであってというのだ。
「その余力もね」
「なかったのね」
「面倒見がよかったのは」
 このことはというと。 
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