金木犀の許嫁
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第四十八話 プールへの誘いその十四
「その時はね」
「そうなるんだ」
「夫婦だと」
その間柄になると、というのだ。
「やっぱりね」
「色々変わるね」
「今は許嫁で」
この間柄でというのだ。
「結婚を約束していても」
「何かと違うね」
「そう、だから」
それ故にというのだ。
「今はね」
「下着は別だね」
「そうしてるの」
「そうなんだ」
「恥ずかしいって思うから」
それでというのだ。
「そうしてるの」
「そういうことだね」
「まあこんなこと言ったら」
少し苦笑いになってだ、夜空はこうも言った。
「佐京君と幸雄さんの下着洗ってね」
「干してるね」
「その時見てるけれど」
「別に見ていいよ」
佐京は気にしていないという返事だった。
「下着はね」
「いいのね」
「うん、下着自体を見られても」
それでもというのだ。
「別にね」
「いいのね」
「下着姿を見られたら恥ずかしいけれど」
それでもというのだ。
「別にね」
「下着自体は」
「そう、本当にね」
そちらはというのだ。
「いいから」
「そうなのね」
「ただね」
「ただ?」
「トランクスって見られても」
幸雄もトランクスである。
「別にね」
「恥ずかしくないの」
「あの下着はね」
「そうなのね」
「俺はね」
「トランクスだと平気なのね」
「それにね」
佐京はさらに話した。
「上はシャツだしね」
「普通のね」
「別に見られても」
どちらもというのだ。
「構わないから」
「女の子の下着と違うのね」
「そうかも知れないね」
「ブラとかショーツは」
女性用の下着はというのだ。
「どうもね」
「恥ずかしいんだ」
「ええ」
そうだというのだ。
「私はね」
「そういうものだね」
「これでもね」
夜空は考えつつ話した。
「デザインの問題かしら」
「デザイン?」
「そう、それのね」
「ブラやショーツだと恥ずかしいんだ」
「そうなの、私はね」
こう話した。
「どうも」
「そうなんだ」
「ちょっとね」
こう言うのだった。
「そこはね」
「それは仕方ないね」
佐京はそれならと応えた。
「そう思うなら」
「そうなの」
「うん、俺も見ないしね」
「私達の下着は」
「嫌がることしないから」
だからだというのだ。
「安心して」
「そうなのね。ただ」
「ただ?」
「興味はあるわよね」
佐京にそれはと尋ねた。
「やっぱり」
「女の子の下着に」
「それで下着姿にも」
「ないって言ったら嘘になるよ」
これが佐京の返事だった。
「やっぱりね」
「そうよね」
「俺同性愛の趣味ないから」
「やっぱり女の子に興味あるわね」
「うん、同性愛は否定しないけれど」
それでもというのだ。
「そっちに興味はないから」
「だから女の子の下着も」
「興味ないって言ったら嘘になるよ」
夜空に正直に話した。
「やっぱりね」
「そうよね、だったらね」
「そうだったら?」
「結婚してから」
「それからだね」
「宜しくね」
「その時にね」
「結婚するまではやっぱりね」
佐京に気恥ずかしそうに話した。
「どうかって思うけれど」
「他の人達はどう思っても」
「私達はそうした考えよね」
「そうだね、それじゃあ」
「ええ、結婚してから」
「それからだね」
「宜しくね」
佐京に微笑んで言った、そうした話もしてだった。
二人は家族と一緒にプールに行くのだった、そしてそこで実際に佐京は夜空に忍者の水泳を披露するのだった。
第四十八話 完
2024・11・1
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