彼は いつから私の彼氏?
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
9-3
いよいよ決戦の日。まだまだ晴れ渡っていて朝からの暑い陽差しだった。ホテルの人が全員で必勝と見送ってくれた。
私達は団体戦2試合目なので、準備練習をして、会場に入ると、お父さん達の応援横断幕が眼に入って、学校の校長以下数人の先生とかクラブのOBの姿も。
日進中央中学との試合が始まって、トップの花梨は圧倒的に勝っていたのだが、燕先輩は2-2からの最終ゲームまでもつれたが最後に落としてしまったのだ。
「ごめん 迷ってしまってー」と、謝っていて、私達 団体チームにとっては、初めて相手にポイントを取られていたのだ。だけど、私達ペァと美麗先輩が取り返して、決勝に進んでいた。その前の試合も山手丘が二色が浜中学に3-0で勝っていた。いよいよ 決戦なのだ。
「先輩 どう? ウチ 可愛いですか?」と、試合前 花梨が燕先輩を掴まえて
「えっ 何 ゆうてんねん こんな時に・・・」
「だって 優勝したら カメラとかあるじゃーぁないですかー 可愛くないとー」
「ふっ 花梨 勝ったら 可愛くなるんじゃぁない」
花梨は、さっきの試合で燕先輩が考え込んでしまっているのを解きほぐそうとして・・・そんなことを・・・ もう 花梨はエースの風格も備わってきてて余裕さえ感じるのだ。
昨日の時点で予想はしていたのだろうけど、相手のベンチサイドはワサワサしていたが、決勝の試合が始まると、花梨の低く鋭く伸びるフォアハンドに、かと思うと逆サイドへのバックハンドがさく裂していて、中学女王の秋元蓮花は花梨の速さと鋭さに慌ててしまっていて、花梨は2ゲームを連取していて、だけど、3ゲーム目は取り返されたが、花梨は落ち着いていて、結局 花梨が3-1で勝ったのだ。花梨は澄ました顔をしていたが、相手ベンチは騒然としていて、しきりに見沼川七菜香に何かを言っているのだ。そして、2試合目も燕先輩は落ち着いて見沼川七菜香を上回る強打を繰り出して3-1で勝っていたのだ。あと、もう 1試合 私達が勝つと 悲願の頂点なのだ。もう、相手ベンチも声が出ていなくて静かだった。私達が強いのはわかっているから、もう覚悟しているのだろう。
私達は落ち着いていた。私達は最強なのだ。二人とも負けるわけが無いと自分達に言い聞かせていた。私がフォアハンドを繰り出すと微妙に変化していて、打ち返せない。返ってきても、若葉が同じコースへ、そして浮いて返ってきた球を私はバックハンドで逆サイドへ。最高のコンビネーションなのだ。1ゲーム目は立ち上がり連続8ポイントで圧倒していた。その後も優位に試合を運んで3-0で勝った。
優勝なのだ。去年のリベンジ 3-0で、太子女学園の悲願を勝ち取ったのだ。監督もコーチも大騒ぎだった。勿論、応援に来てくれている人達も。私達6人も抱き合って喜んでいたのだが、冷静さを失って居たわけでは無く
「まだよ 個人戦が控えているわ 太子女学園で2冠よ 頑張っていこうね 今度は秋元蓮花も考えて仕掛けて来るわよ 花梨」と、若葉は引き締めていたが、まるで花梨と秋元蓮花が決勝で闘うみたいなのだが・・・私だって・・・
お昼休みにホテルからお弁当を届けてくれていて、時間を見計らい、こしらえてきてくれたのだろうハムカツと厚焼き卵のサンド。まだぬくもりがあった。それと、ポテトサラダに卵サラダのサンドとバナナが添えられていた。そして (突進だ 太子女学園)のメッセージカードも。ホテルの心遣いに皆がジーンと来ていて、食べていると、お父さんが現れて
「水澄 よく やったな スマホ配信しておいたから お母さんも喜んでいるはずだ 個人戦も期待してるぞ 帰りは一緒なんだろう?」
「だからー 前にも言ったじゃない! 交流会があるから もう 1泊だって! 気が散るからあっち行ってよー」 ちょっと 言葉がきつかったかなーと思っていると、横で聞いていた香が
「水澄 交流会って何? そんなのあるの?」
「うーぅ あのね 小学校の仲良かった子が名古屋に居るから 会って行くの」と、誤魔化していたのだが 「ふ~ん」と、香は怪しげな眼で見ていた。
個人戦の準々決勝が始まって、1試合目は花梨と山手丘の見沼川七菜香で2試合目は若葉と東京代表の久遠美玖。3試合目に私と二色が浜中学の進藤かがり、4試合目は燕先輩と秋元蓮花。
花梨は1ゲーム目を7-11で落としていた。私は準備の為、見ていなかったのだけど、後で若葉から聞かされたのだけど、1ゲーム目終わった後も花梨は落ち着いていて、ニャッとしていたよと。そして、2ゲームからは3ゲーム連続で立て続けに取って、相手を圧倒していた。きっと、最初のゲームは相手の動きを見ていたのだろう。つぎの試合の若葉も落ち着いていて3-1で勝ち上がっていた。
そして、私の番で、相手も私のスマッシュに戸惑っていて対応できないままに、最後のスマッシュは「私達はあなた達とは 目指しているものが違うのよ!」と打ち込んだのだ。3-0で圧倒していた。燕先輩の試合。秋元蓮花に苦手意識もあるのか3ゲームとも喰い下がっていたが、最後は取られてしまっていた。
「あなた達はこの1年間本当に頑張って来てくれたわ 監督なんか団体優勝の時から感激しちゃって、今は、自慢顔で校長の横に座ってるの 準決勝の4人のうち3人がウチの学校なんだものねー ここまででも、充分よ 水澄なんて1年前はラケットは右ですか左ですかなんて言ってたんだものねー 呆れるわよー でも これから 同士打ちよね お互いのことは良く知ってるから・・・思い切ってね ただ秋元蓮花も立ち直ってくると思うけど、今は あなた達のほうが勢いあるからね」と、コーチから
花梨と若葉の試合が始まって、最初のゲームは花梨が取って、その後は若葉が取り返して、2-2のまま最終ゲームも6-6になった時、花梨がギァを上げたのか、思いっ切り鋭いフォァハンドで若葉を左右に振って、連続5ポイントを奪って勝利していた。
そして、私は若葉と花梨から気合を入れられて秋元蓮花に向かっていったのだ。最初のゲーム。私はそれまであまり使って来なかったステップしてのスマッシュを打ち続けた。相手も花梨とは違う球すじに戸惑っていて、試合中になんども首をかしげていた。コーナーぎりぎりにバウンドしてその後の回転で逃げて行くのだから、初めてだと対応出来ないはずなのだ。1ゲーム目は11-6で勝っていた。だけど、その後は、私の自慢のスマッシュも返されて、私のバックサイドを執拗に攻められていた。2ゲーム、3ゲーム目も取り返されてしまった。後が無い・・・これが、女王なのか・・・この時のために、必死に練習してきたのだけど・・・
ページ上へ戻る