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星河の覇皇

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第八十七部第五章 外の世界の動きを無視しその三十二

「そしてです」
「巨大であることですね」
「敵が呑み込めないまでに」
「深海魚は自分より大きな獲物を一呑みに出来ます」
 ここでこうもだ、貴族は言った。
「確かに」
「そうですね、ですが」
「何倍もとなると」
「無理ですね」
「ましてやです」
「何百倍もとなると」
「最早です」
 それこそというのだ。
「何があろうともです」
「吞み込めないですね」
「無理です」
 それはというのだ。
「どうしても」
「最大の国防は巨大であれ」
 アランソはこの言葉も出した。
「そう言いますね」
「大国はそれだけで国防です」
「全くですね」
「連合は帝国主義時代のことを忘れていません」
 その時の侵略の歴史をだ。
「もっと言えば大航海時代からの」
「左様ですね」
「ですから」
 それでというのだ。
「あの国はです」
「巨大になり続けていますね」
「そしてそれで、です」
「連合は実際にですね」
「誰も攻めようと思いません」
「エウロパにしても」
「そんなことはです」
 到底というのだ。
「出来ません」
「そうですね」
「六百倍の相手なぞ」
 その連合はというのだ。
「どうしてもです」
「併呑出来ないですね」
「彼等が我々をそうするなら違いますが」
「併呑出来ますね」
「対立していても力の差は歴然としています」
 それはというのだ。
「六百倍ですから」
「圧倒的ですね」
「はい」
 アランソは食後のワインを飲みつつさらに話した。
「それではです」
「連合がその気になれば」
「我々を併呑も出来ます」
「左様ですね」
「彼等にその気がないので」 
 それ故にというのだ。
「そうはなりませんが」
「それでもですね」
「彼等がそのつもりなら」
 連合の方がというのだ。
「出来ます」
「左様ですね」
「はい、しかしです」
 それでもとだ、アランソは貴族に己の話を続けた。
「我々がそうするとなると」
「無理ですね」
「連合には局地的に勝てても」
「総力戦となりますと」
「どうしてもです」 
 それこそというのだ。 
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