ハッピークローバー
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百五十三話 スカートの丈その四
「うちの学校だとね」
「スカート短いわね」
「戒律の厳しい国から来ても」
「日本だといいのか、というかね」
「というか?」
「イスラムの女の人のヴェールはね」
富美子はこれはと話した。
「日本の気候にはね」
「合わないわね」
「あれは日光を避けるものなのよね」
「そうそう、アラビアのね」
「そうしたものでね」
「あっちは空気は乾燥していて」
「ヴェールで日光避ければ」
そうすればというのだ。
「それでね」
「いいから」
「だからね」
それでというのだ。
「着ているけれど」
「日本は湿気が多いから」
「それでね」
「あまり向いてないわね」
「日本にはね」
「そうよね、しかし」
それでもというのだった。
「戒律をどうしてもって娘はズボン穿くわね」
「足を見せないでね」
留奈が応えた。
「太腿もね」
「そうよね」
「やっぱり戒律は守って」
「お肌見せないわね」
「イスラムでもね」
この宗教の教えでもというのだ。
「守るものはね」
「守る、ね」
「それでね」
そうした考えでというのだ。
「やってる娘はやってるわ」
「スカート穿かないわね」
「ヴェール被ってもね」
そうしてもというのだ。
「実はいいしね」
「うちの学校はね」
「ちゃんとそうした配慮もしてるから」
「それぞれの宗教のね」
「郷に入ってはっていうけれど」
それでもというのだ。
「お互いに考えてね」
「やっていかないとね」
「だからお肌をどうしても見せなくないなら」
「ズボンもいいのよね」
「スカート長くしてもね、何か絶対に日本に従えとか」
留奈はさらに言った。
「嫌だしね」
「日本の風習にね」
「法律なら兎も角ね」
「その国の風習もね」
「尊重しないと、それってね」
留奈は嫌そうな顔になって言った。
「馬鹿な校則を決めて守れって押し付ける」
「そうした先生と同じね」
「そう、うちの学校にはいないけれど」
そうした教師はというのだ。
「けれどね」
「そうした先生と同じね」
「校則は守るものでも」
「日本の風習はね」
「そこまでいかないし」
「何か嘘まで吐いてね」
理虹は嫌悪に満ちた顔で話した。
ページ上へ戻る