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四十代勝負下着

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第二章

「ショーツもブラもね」
「そうなのね、けれど冒険してもいいでしょ」
「よくないわよ、全く四十代でお母さんなのに」
 また母に眉を曇らせて話した。
「そんな下着なんて」
「いいじゃない」
 また娘にこう返した、それも笑って。
「下着はね」
「よくないわよ」
 こんな話をしたのだった、娘は母が派手な下着を着ていることが甚だ不満であった。だがそれでもだった。
 理恵の下着は派手なままだった、色もそうでありデザインも出だ。それで志保はそれが嫌であったが。
 ある日一家で家の近くのスーパー銭湯に行くことになった、父で細面で小さな目と細い眉にやや色黒で黒髪を短めにしている一七四位の背で痩せた如何にも真面目そうな外見のサラリーマンの主浩は男湯に入り。
 理恵と志保は女湯に入ったが。
 脱衣場に入る前にだ、娘は母に問うた。
「今日もやっぱり」
「そうよ」
 あっさりとした返事だった。
「上下黒よ」
「やっぱり派手ね」
「ティーバックじゃないけれどね」
「それでもね」 
 母に女湯の暖簾を潜ってから言った。
「やっぱりね」
「派手だっていうのね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「本当にね」
「黒でもティーバックじゃないわよ」
「色自体がよ」
 それがというのだ。
「本当にね」
「派手なの」
「何でよ、しかしね」
 ここで娘はこうも言った。
「またね」
「今度は何よ」
「四十代で」
 その年齢でというのだ。
「そのスタイルはないわ」
「毎日よく歩いてパートでも歩いていつも立ってるからね」
「カロリー使ってるの」
「他にも何かとスタイルの維持にはね」
「気を使ってるの」
「そうなのね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「お母さんなりにね」
「それはいいことだけれど」
 娘はそれでもとだ、中三の自分以上のスタイルの母に言った。そのスタイルは肌こそやや衰えが見られる場見事なボン、キュッ、ボンであった。
「何でスタイルに気を使うのよ」
「こうした下着が似合う様によ」
 母は確かな声で答えた。
「それでよ」
「そう考えてなの」
「そうよ」
 だからだというのだ。
「いつもね」
「身体動かして」
「矯正もしてね、健康的にね」
「暮してるの」
「そうしてるから」
 それでというのだ。 
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