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金木犀の許嫁

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第四十六話 鯨を食べてその七

「兄上も決して無能ではなかったですが」
「政治家として有能でしたね」
「ですが戦いは」
「幸村公でしたね」
「そうであられました、やはりです」
「能力は、ですね」
「そうしたもので決まりません」
 決してというのだ。
「そうです」
「左様ですね」
「はい、しかし」
「しかし?」
「実はです」
 幸雄はこう前置きして話した。
「誰でも得意不得意があり」
「幸村公もですね」
「政の方は」
 そちらの方はというのだ。
「やはりです」
「兄上ですね」
「あの方の方がです」
 どうにもというのだ。
「あったとです」
「思われますか」
「はい」
 そうだというのだ。
「やはり」
「そうなのですね」
「戦はです」
「幸村公ですね」
「ですが」
 それでもというのだ。
「政になりますと」
「そういえば」
 夜空も幸村の政の話を聞いて言った。
「幸村公は政は」
「大名であられましたが」
「それでもですね」
「はい、どうもです」
「あまり、ですね」
「聞かないですね」
「そうですね、戦いは」
 そちらはというと。
「上田白でも大坂の陣でも」
「凄かったですね」
「歴史に残る程」
「ご先祖様と戦って」
「しかしです」
 それでもというのだ。
「政治については、です」
「聞かないですね」
「はい、そこがです」
「あの方の不得意分野でしたか」
「はい、ただ」
「ただといいますと」
「やはりある程度はです」
 真田幸村もというのだ。
「政治は学んでいました」
「大名のお家の方であられたので」
「しかも実際にです」
「大名になられていたので」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「ある程度の素養はです」
「おありでしたね」
「そうでした」
「そうですか」
「はい、ただ」
 こうもだ、幸雄は話した。
「あの方はやはりです」
「戦いですね」
「そちらの方です」
「やはりそうなりますね」
「その凄まじさはです」
 まさにというのだ。 
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