神々の塔
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第九十三話 それぞれの神具その十一
「ほんま色々なもの見たわね」
「皆ね」
「あたい達もそうでね」
「他の皆もで」
「経験もして」
「皆成長してるね」
「楽しい思いもして」
そうしてというのだ。
「苦労も辛い思いもね」
「してきたね」
「そしてね」
「皆成長したね」
「人は何もせえへんかったら」
そうであったらというと。
「何もね」
「変わらへんで」
「成長せえへんけど」
「色々見て経験したら」
「成長するね」
「そしてその成長も」
「力になってるわよ」
綾乃に微笑んで話した。
「絶対に」
「その通りや」
芥川はまさにと答えた。
「起きた世界ではわからんかったわ」
「まだね」
「十八年位やとな」
「まだわからへんわね」
「人は色々見てな」
「経験して」
「それでや」
そうしてきてというのだ。
「そのうえでや」
「成長するものよ」
「それで僕等もな」
「心が成長してるわね」
「そうなってるわ、ただな」
ここで芥川は遠い目になった、そして悲しさを帯びた表情になってそのうえでアレンカールに話した。
「ええことばかりやない」
「生きてるとね」
「別れもあるしな」
「色々悲しいものも見るわね」
「辛い経験もしてな」
「嫌な思いもしてね」
「汚れちまった悲しみもな」
中原中也が詠ったそれもというのだ。
「あるしな」
「反省に後悔に」
「ほんまな」
それこそというのだ。
「生きてるとな」
「マイナスの経験もするわね」
「多くな」
「恥もかくし」
「そうした経験もするわ」
「どうしてもね」
「ええことばかりやないわ」
芥川は言い切った。
「悪いこともや」
「多いわね」
「この世界に来て三十年以上経って」
「マイナスのことも多かったわね」
「ああ、そうした経験をしたないなら」
そう思うならというのだ。
「ずっと引き籠ってるか」
「死ぬことね」
「どっちかや、けどな」
「それじゃあね」
「何にもならへんわ」
「引き籠っても死んでも」
「そこまでや、そやからな」
だからだというのだ。
「心が成長したいなら」
「それならね」
「嫌なものも見てな」
そうしてというのだ。
「経験してくことや」
「その通りね」
「これからもな、ほな」
「ええ、これからもね」
「こっちの世界で頑張って」
「世界を救いましょう」
「皆でな」
こう言うのだった、そうしてだった。
十人は今は自分達の仕事をしていった、都に戻って様々な成長を実感しつつそうしていったのだった。
第九十三話 完
2024・10・8
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