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駄目な支店だったのが

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第一章

                駄目な支店だったのが
 八条観光沖縄支店は長い間観光客を送ることでは業績不振にあった、どの支店長も苦戦していた。そんな中新しい支店長に中畑重盛長方形の顔に小さく鋭い目と薄い唇を持つ日に焼けた肌にスポーツ刈りの黒髪を持つ一七五位の背で引き締まった体格の彼が就任した。
 上司からだ、彼は沖縄に入る前に言われた。
「あそこはね」
「ずっと業績不振ですね」
「沖縄自体が観光地で」
「そこから行こうって人はですね」
「どうもないみたいでね」
 それでというのだ。
「苦戦しているよ」
「そうですか」
「むしろ観光客を受け入れて」
「ガイドですね」
「そちらが主な仕事になっているから」
 だからだというのだ。
「むしろそちらでね」
「頑張ることですか」
「頼むよ」 
 こう言われた、実際に支店長になるとだ。
 沖縄の人達を他の地域や国に旅行で行ってもらうことは少なくガイドの仕事の方がずっと多かった。それでだった。
 中畑もそちらが主な仕事になっていた、しかし。
「折角だから沖縄の人達も」
「旅行に行ってもらいますか」
「それでそっちの業績上げますか」
「観光会社らしくて」
「そうしよう」
 こう部下達に言った。
「何とかね」
「そう言いましても」
「沖縄の人達旅行に行かないですよ」
「ここ自体が観光地ですし」
「地元でのんびりしているのが好きで」
「これが」
「そうだね、そこをどうしようか」
 中畑も言われて腕を組んだ、そうしてどうしようかと考えたが。
 ふとこれはと思ってだ、ガイドの仕事の時にだ。
 地元の人達にガイドをしている人達のそれぞれの地域や国のことを話した、そこがどういった国かをだ。
「へえ、奈良はそうなのか」
「そうなんですよ」
 中畑は観光地にいる地元の人に笑顔で話した。
「奈良市なんかは」
「大仏さん以外にもあるんだな」
「観るものと美味しいものが」
「そうなんだな」
 地元の人は興味深そうに頷いた、そしてだった。 
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