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祖父ちゃんの餃子

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第二章

「街の中華料理屋さんってね」
「減ってるしな」
「そうした状況だし」
「やっていけるか」
「味を受け継いだら何処に行ってもやっていけるだろ」  
 こう両親に返した。
「そうだろ」
「ああ、包丁一本って言うしな」
「美味しいもの作れたらね」
「だからさ」
「専門学校行ってか」
「お祖父ちゃんの味受け継ぐのね」
「就職も祖父ちゃんに行って店に入るな」
 サラリーマンの父とパートの母に言った、そうしてだった。
 常彦は調理師の専門学校から祖父の店に入りそこで働きつつ味を学んだ、祖父は怒鳴らず淡々と何度でも教えたが。
 孫の料理特に餃子を食べてだ、こう言った。
「まだな」
「祖父ちゃんの味じゃないんだな」
「ああ、お客さんに出せてもな」 
 それでもというのだ。
「まだだな」
「そうなんだな」
「だからな」
 それでというのだった。
「もっとな」
「作るんだな」
「作る度に見て考えてな」
 そうしてというのだ。
「あれこれ工夫もな」
「するんだな」
「本も読んでな、最近はネットもあるだろ」
「ああ、そっちでも色々勉強出来るよ」
 料理のことがというのだ。
「今はな」
「じゃあそうした勉強もしてな」
「作っていくんだな」
「最初から調理師の学校行ってるからな」
 そこで教育を受けたからだというのだ。
「結構様にはなってるさ」
「店に入った時からか」
「店を奇麗にして手もよく洗ってな」
 そうもしてというのだ。
「それでな」
「出来てるんだな」
「ああ、けれどな」
 それでもというのだ。
「そこからなんだよ」
「美味いもの作るのはか」
「そうだからな」
 それでというのだ。
「まだな」
「これからなんだな」
「そうだ、どんどん作って勉強していくんだ」
「そうしたら祖父ちゃんの餃子を作られるか」
「作りないなら作って勉強してそれにな」
 さらに言うのだった。
「食うんだ」
「食って舌でか」
「覚えるんだ、祖父ちゃんがレシピを教えてもな」
 そうしてもというのだ。
「祖父ちゃんが作った様にはな」
「ならないよな」
「それは餃子の握り方にな」
「火加減もあるよな」
「焼く時に入れる水の量にな」
「焼く時間もな」
「色々あってな」
 それでというのだ。 
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