クール系上司の素顔
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第二章
「黙っていたけれど」
「そ、そうですか」
「隠していないから」
田上は無表情のままさらに言った。
「会社の外でのことは」
「アフターファイブは」
「お仕事の時はお仕事に専念したいから」
だからだというのだ。
「このキャラだけれど」
「お仕事が終わったら」
「飲み会でもね」
会社のそれでもというのだ。
「会社のことだからこのキャラだけれど」
「そうじゃないと」
「あれが私の地だから」
自分で言った。
「彼氏やお友達、家族といたら」
「ああなんですね」
「お仕事じゃないなら」
それならというのだ。
「そういうことだから」
「そうですか」
「宜しくね」
「その時お会いしても」
「驚かないでね」
納谷にクールなまま言った、そして仕事に入った。そこでは普段の彼女だったが社員旅行の時もクールなままでも。
「寝た時に言葉が」
「凄かったのよ」
「滅茶苦茶甘えた感じで」
「お付き合いしている人のお名前やたら言って」
「デレデレしてね」
「そうなんだ、やっぱり」
納谷は田上と同室だった同期の娘二人の話を聞いて言った。
「そっちが地なんだね」
「寝てる時に出るのがね」
「そうよね」
「寝姿とても可愛かったし」
「乙女チックだったわ」
「仕事の時はスイッチ入れてるってことだね」
クールのそれをとだ、納谷は納得した。そうしてだった。
以後彼女の仕事でのクールキャラをありのまま受け入れた、そして彼女が結婚して夫と息子と幸せに暮らしていることにも納得した、地の彼女を知っているからこそ。
クール系上司の素顔 完
2024・12・18
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