着ぐるみで調査
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第一章
着ぐるみで調査
イベントで着ぐるみの仕事をすることになってだ、大学生の葉山遼太郎は意気込んだ細身だが筋肉質で背は一八〇ある。太い眉で丸く優しい感じの目と長方形の顔を持ち黒髪は短くしている。
「頑張るぞ」
「頑張ってね、それとね」
着ぐるみの会社の社員であり今回の仕事の責任者であり鬼塚洋平はここで彼に言った。小柄で太っていて丸い顔をしていて丸眼鏡とスーツという服装でそれにやや薄くなった髪を持っている中年男だ。
「色々聞いたこと話してくれるかな」
「イベント先で、ですか」
「イベントに来ている子供さんや親御さん達のお話をね」
「そうしたものをですか」
「そう、このイベント何がいいか何が悪いかとか」
そうしたというのだ。
「どういったものがあればいい、なかったらいいかとか」
「そうしたこともですね」
「全部ね」
「聞いてですか」
「お話してね」
「わかりました、ただそうしたお話聞けますかね」
二人は今仕事の打ち合わせでイベント会場の傍のファミレスにいる、そこで向かい合って紅茶を飲みながら話している。
「果たして」
「それは仕事をしてみればわかるよ」
「着ぐるみの」
「うん、中は暑くて大変だけれど」
それだけにギャラはいい。
「聞いてもいてね」
「わかりました」
葉山は鬼塚の言葉に頷いた、そうしてだった。
実際に着ぐるみを着て色々な動きをして観客達にサービスをした、その中で鬼塚の言う話なぞないと思っていたが。
それがだった、これが。
「あの、何かとです」
「聞けたね」
「はい」
打ち上げの個室の居酒屋でだ、彼は鬼塚に話した。個室なのは着ぐるみの時に聞いたことを話す為だ。
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