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神々の塔

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第九十二話 最上階その四

「宜しいでしょうか」
「そして神霊さん達の世界に行くんやな」
「もうここは天空の遥か高みに至っています」
「そういえば」
 アレンカールは周りを見回した、周りは青空しかなく雲もなかった。雲がないまでの高みにその階はあるのだ。
「高いわね、浮島もないわね」
「そこまでの高みにある」
「それでその高さに」
「はい、それぞれの神霊の方々の世界があります」
「そうなのね」
「人が住まう地上と地下、浮島よりも遥かに高みにある」
 そうしたというのだ。
「そうした世界です」
「神霊さん達の世界は」
「はい、そして」
「その世界になのね」
「これより入られて下さい」
「ほなね」
「では私の背にお乗り下さい」
 こう言ってだった。
 フェニックスは腰を下ろした、一行はその背に乗った。すると。
 フェニックスは再び立ち上がり羽ばたいた、そうしてだった。
 飛び上がると一瞬でだ、一行は雲の上にある実に不思議な場所に来た。
 日本、神道の世界だけではない。仏教の世界が建物と草花と水で表現されそこに存在していてだった。
 中国、インド、東南アジア、オセアニア、北米、マヤやアステカがあり。
 アフリカもある、ローマにケルト、西欧に東欧に北欧があり。
 混沌もあった、兎角様々な世界がそこにあった。それぞれの世界が隣り合いそこには絶妙の調和があった。
 その世界に入ってだ、綾乃は言った。
「それぞれの世界の神霊さん達の世界が共にある」
「そうした場所やな」
 リーも言った。
「ここは」
「そやね、それぞれの神霊さん達の世界があって」
「それがこの場所では共にある」
「あらゆる神聖な存在が共存する」
「そんな場所やね」
「そうだ、昨日ぶりだな」 
 素戔嗚尊が笑顔で出て来て言ってきた。
「あの後で随分飲んで食ったな」
「はい、お酒は抜いてきました」
 綾乃は素戔嗚尊に笑顔で応えた。
「お風呂で」
「身体を清めてだな」
「そうしてきました」
「それは何よりだ、ここはそなた達の言う通りだ」
「それぞれの神霊さん達の世界が共存してる」
「そうした場所だ」
 まさにというのだ。
「隣り合ってな」
「そうなんですね」
「神霊の世界は一つではないことはわかっているな」
「はい、人がどう思っていても」 
 綾乃は素戔嗚尊に答えた。
「実はです」
「それぞれの信仰の世界があるからな」
「それぞれありますね」
「それでだ」 
 その為にというのだ。
「この場所はな」
「それぞれの神霊さん達の世界が共存している」
「その場所だ、そして塔の終着点だ」
「そうですね」
「これでそなた達の冒険は終わった」
 神は綾乃ににこりと笑って答えた、見れば周りには一行にこれまで試練を与えてきた神霊達が微笑んでいる。 
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