星河の覇皇
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第八十七部第四章 首相官邸にてその六十四
「やはりな」
「そうした時でなく」
「仕事を離れ」
「そして遊んでいる時ですね」
「そうした時を狙うことだ、ましてや仕事中は大抵周りに人がいてだ」
そうしてというのだ。
「ガードもある」
「セキュリティに二重三重に囲まれた中ですし」
「成功しませんね」
「どうしても」
「成功させられるとしたら映画だ」
この世界のことだというのだ。
「最早な」
「左様ですね」
「それはそうした世界でのことで」
「現実に出来るかというと」
「非常に難しいですね」
「そうだ、だから刺客を送るなら」
それならとだ、アッチャラーンは再び話した。
「仕事中ではない、プライベートかだ」
「趣味を楽しんでいる」
「その時ですね」
「そして最もいいのはですね」
「趣味に没頭しているその時ですね」
「そうだ、まさにその時に狙うことだ。毒を使うこともいいが」
それでもというのだ。
「こちらもな」
「仕掛けるならですね」
「遊んでいるその時ですね」
「それがいいですね」
「普通のバーで飲む酒に毒が入っているか」
アッチャラーンは例えとしてこう言った。
「そう考えるか」
「それはないですね」
「まずはないですね」
「ほぼ」
「左様ですね」
「そうだ、何気なく話しているバーテンダーが実は工作員でだ」
趣味として酒を楽しんでいるその店でというのだ。
「それでだ」
「カクテルに毒を仕込んでいる」
「そうしたことはですね」
「まずないですね」
「だから毒を使うにしてもな」
その場合もというのだ。
「やはりな」
「相手が遊んでいる時」
「まさにその時ですね」
「仕事を離れ」
「そして羽根を伸ばしている時こそですね」
「いい、二十四時間働くか寝ているかなぞだ」
そうした生活はというのだ。
「人はそうは出来ないな」
「はい、私もです」
「私もそれは無理です」
「仕事か睡眠だけの生活なぞ」
「到底は」
「それは奴隷だ、いや奴隷でも趣味はあった」
そう言われる立場であった者達でもというのだ。
「奴隷は実は案外待遇はよかった」
「高価な財産でした」
「そう考えると粗末に扱い出来ないですから」
「それで、ですね」
「そうだった、だから趣味もだ」
これもというのだ。
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