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ハッピークローバー

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第百五十話 妖怪がいる余裕その十四

「そんなことをしたいか」
「そんな人達を助けたいか」
「感謝もしないしいいこともしないのにだ」
「勝手に苦しんでろってなるわね」
「まして知っている奴がなると思うとな」
 自分が嫌っている相手がというのだ。
「それこそだ」
「思わないわね」
「だから布施餓鬼が出来る人はな」
「相当凄い人ね」
「俺には無理だ」
 絶対にというのだ。
「それはな」
「私もね」
 富美子も越智の言葉を受けて答えた。
「布施餓鬼はね」
「無理だな」
「前に聞いたことあるしね、どうした人が餓鬼になるか」
「それでだな」
「聞くとね」
「したくなくなるな」
「人間の屑と言うしかなくて」
 そうしたレベルでというのだ。
「どうにもならない連中がなるって思うと」
「害にしかならないな」
「そうだって聞いたら」
 そして知ればというのだ。
「もうね」
「布施餓鬼なんかしたくなくなるな」
「誰がするかってね」 
 その様な連中を助けるものかというのだ。
「思うわ」
「そうだな、しかしな」
 越智は富美子にそれでもと話した。
「世の中それが出来る人もいるんだ」
「どうしようもない連中を助けられる人が」
「そんな人は凄いな」
「よく出来るって思うわね」
「そしてだ」
 越智は富美子に自分が考えることをさらに話した。
「それが出来る人は幸せだな」
「布施餓鬼出来る人は」
「それだけの徳があるとな」
 人としてのそれがというのだ。
「もう不平不満なんて感じなくてな」
「何があっても幸せだって思うから」
「そしてさらに徳を積めるからな」 
 布施餓鬼からだというのだ。
「本当にな」
「その人は幸せね」
「そう思う」
「そういうことね」
「そうした人は幸せだ、凄いしな」
「中々なれないわね」
「ああ、尊敬さえする」
 越智は素直に述べた。
「そうした人はな」
「そうよね、そんな風にはそうはなれないわね」
 富美子も確かにと頷いた、そうしてだった。
 妖怪達の絵や文章も見ていった、そこには余裕があり浅ましさはなかった。だが浅ましさにも手を差し伸べられる器についても思うのだった。


第百五十話   完


                   2024・9・15 
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