新オズのかかし
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第十幕その七
「いつも」
「そうなんだね」
「平和でありたいなら」
「お互いを知ることだよ」
「そのことはです」
ヘレンさんはかかしに言いました。
「外の世界にいた時からです」
「ヘレンさんの考えだね」
「はい、ですから」
それでというのです。
「今もです」
「オズの国の中でだね」
「色々な国の人達とお会いして」
「文化に触れているね」
「そうしています」
「いいことだね」
「私は確かに目が見えず耳も聞こえず」
そうであってというのです。
「話すことも出来ませんでした」
「そうだった、けれど」
「そのことがです」
かかしに確かな声で言いました。
「私に他の人達に対して考えることと」
「思いやり、優しさだね」
「そう言われるものになるでしょうか」
「そうだね」
かかしはその通りだと答えました。
「貴女はそうしたものを備えたね」
「そうであればです」
「嬉しいね」
「はい、このうえなく」
かかしに微笑んで答えました。
「そう思います」
「僕もだよ、貴女は外の世界での困難からね」
「多くのものを得ましたね」
「そうなったよ、例え五体満足でもね」
そうであってもというのです。
「勿論そうでなくてもね」
「心が備わっていないならですね」
「その人は駄目だよ」
「そうですね」
「しかしね」
それでもとです、かかしはさらに言いました。
「貴女は備えたからね」
「いいのですね」
「この上なくね、だからアメリカ以外の人や文化を理解して」
「触れることが大好きです」
「今もだね」
「そして人種の違いもです」
それもというのだ。
「私はないとです」
「ずっと考えていたね」
「肌の色が違うと言われても」
それでもというのです。
「私は見えず聞こえずだったので」
「関係なかったね」
「そうでした」
まさにというのです。
「全く」
「そうだよ、しかも見えても聞こえてもね」
「それでもですね」
「人種の違いなんてね」
「何もないですね」
「人の能力なんて全く変わらないよ」
かかしはきっぱりと言いました。
「その人の努力次第でね」
「何ともなりますね」
「貴女とサリバン先生がそうじゃないか」
かかしは手振りを交えて言いました。
「苦難があっても乗り越えた」
「努力で、ですか」
「そのこと自体がね」
まさにというのです。
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