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新オズのかかし

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第十幕その四

「そんな方ですから」
「私は素晴らしい人なのね」
「偉大です、しかも差別や偏見に反対されて」 
 このことも言うのでした。
「どれだけ素晴らしい方か」
「私は私の思うことを言っただけよ」
「その言ったお考えが素晴らしいんです」
「そうなのね」
「私達皆ヘレンさんを尊敬しています」
 心からの言葉でした。
「本当に」
「そう言ってくれるのね」
「何があっても」
「その言葉だけで嬉しいわ」
 ヘレンさんは自分に言ったナターシャに微笑んで言いました。
「心に留めておくわ、けれど私はね」
「ヘレンさんは、ですか」
「本当に偉くなくて。それでね」
「それで?」
「今はサリバン先生と二人でね」
 サリバン先生を見て言うのでした。
「静かに暮らしているだけよ」
「そうですか」
「今の私はね」
「それだけですか」
「それだけよ」
 こう言うだけでした。
「オズの国でね」
「そうなんですね」
「今は凄く幸せだけれど」
「ヘレンさんはオズの国に来たことが最高の幸せって言ってくれているんだよ」
 かかしが五人にお話しました。
「オズの国では怪我も病気もないね」
「死ななくて」
「とうことはですね」
「目が見えて耳が聞こえる」
「今のヘレンさんはそうですね」
「実際お話もされていますし」
「そうなの、今の私は目が見えるのよ」
 ヘレンさんは満面の笑みで言いました。
「耳も聞こえてね」
「そしてお話出来て」
「それで、ですね」
「幸せですね」
「今のヘレンさんは」
「オズの国に来られて」
「そうなのよ」
 まさにというのです。
「今の私は本当に幸せよ。サリバン先生も一緒だし」
「神様がプレゼントをくれたのよ」
 サリバン先生は笑顔で言いました。
「最後の最後まで頑張ったヘレンにね」
「オズの国に連れて来てくれたのね」
「そうなのよ。そしてね」
「目が見えて耳が聞こえる様にしてくれたのね」
「お話も出来てね」
「そうなのね」
「とても大変だったけれど」
 サリバン先生が見てもです。
「けれどね」
「それでもなのね」
「それでも頑張ったヘレンによ」
「神様がプレゼントしてくれて」
「オズの国に来たのね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「そして今ではね」
「目が見えて耳が聞こえてお話出来て」
「そのこともあってよ」
「幸せに暮らせているのね」
「そうなのよ」
「私は確かに目が見えなくて耳が聞こえなかったわ」
 ヘレンさんは自分からこのことを言いました。 
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