大阪の呼ぶ子
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第六章
「別にな」
「あまりないわね」
「ああ、性格がどうかだな」
「性格が悪いとね」
「人間でも妖怪でもな」
「問題だからね」
「ああ、それでな」
そうであるからだというのだ。
「怖がることもな」
「ないわね」
「性格のいい妖怪よりな」
それこそというのだ。
「性格の悪い人間の方がな」
「まずいのよね」
「ヤクザ屋さんなんてな」
この世界の人達はというのだ。
「もうな妖怪よりずっとね」
「やばいよな」
「そうよね」
舞奈もその通りだと答えた。
「はっきり言って」
「だからな」
それでというのだ。
「性格の悪い奴こそな」
「問題よね」
「妖怪だから問題じゃないな」
「あの妖怪さん性格悪くなかったしね」
「ああ、だったらな」
「問題なしね」
「そうだよな、じゃあ俺達はな」
またカップ焼きそばを食べて言った。
「今はな」
「二人で飲みましょう」
「食ってな、たこ焼きも焼きそばも本当に合うしな」
「全部飲んで食べましょう」
「そうしような、それでな」
勇也は舞奈にこうも言った。
「送るな」
「全部飲んで食べたら」
「そうしたらな」
それからはというのだ。
「そうするな」
「悪いわね」
「悪くないさ、女の子一人夜道を歩かせるなんてな」
そうしたことはというのだ。
「やっぱりな」
「したら駄目ね」
「だからな」
それでというのだ。
「いいさ」
「そうしたことは」
「それでな」
そのうえでというのだ。
「言っただろ、悪い人間はな」
「そうした連中こそ問題ね」
「そうした奴に襲われるとな」
「駄目だから」
「送るな」
舞奈の家までというのだ。
「そうするな」
「それじゃあね」
「ああ、そしてな」
勇也はさらに話した。
「送ってからな」
「このお家に帰って」
「風呂入って寝るな」
「私も入らないとね」
風呂と聞いてだ、舞奈も応えた。
「ちゃんとね」
「誰でもだな」
「ええ、言うけれどね」
「どうしたんだ?」
「女の子の体臭凄いから」
「いい匂いじゃないのか」
「全然違うわよ」
即座に全否定で答えた。
「これがね」
「そうなのか」
「悪臭だから」
女の子の体臭はというのだ。
「もうちょっとお風呂に入らないと」
「凄いか」
「男の子よりもきついから」
だからだというのだ。
「そこはね」
「注意しないと駄目か」
「そうよ、だからね」
「家に帰ったらか」
「お風呂入るわ」
「そうするんだな」
「ええ、それで寝るわ」
こう告げたのだった。
「今日もね」
「毎日入ってるんだな」
「欠かさずね、帰ったらそうするわ」
舞奈は笑って言ってまた飲んだ、そして実際に家まで送ってもらって帰るとすぐに風呂に入った。すると体臭はしなかった。妖怪と出会って飲んだ後はそのことが気がかりだったがその気がかりもなくなったのだった。
大阪の呼ぶ子 完
2024・11・28
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