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横浜ヘブンズゲート

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第一章

                横浜ヘブンズゲート
 セットした短い金髪にサングラスをかけた若い白人の青年だった、引き締まった顔立ちで一八〇位の顔立ちと同じ引き締まった身体で黒い革のジャケットと青いジーンズにシューズという恰好である。
 その彼が横浜駅前の居酒屋に入ってだ、こう言った。
「ここが横浜か」
「はい、ご注文は」
「おう、ビールだ」
 白人の青年は大学生で店でアルバイトをしている川上里菜一五四程の背で大きな穏やかな感じの目を持つ童顔で長い黒髪を後ろで団子にしたスリムな体形の彼女に答えた。
「枝豆、冷奴もな」
「わかりました、ただ」
 川上は青年に冷静にだった、注文を受けてから青年に言った。
「お客様、お背中のものは」
「ああ、これ翼だよ」
 青年は平然として答えた。
「俺天使だからな」
「翼があるのですか」
「ほら、頭にもあるだよ」
 右手で自分の頭の上を指差して言った。
「天使の輪がな」
「今気付きました」
「この通りな、俺は天使でな」
 それでというのだ。
「名前はユウマエルっていうんだよ」
「ユウマエルさんですか」
「ああ、これから横浜駅とその周りの守護天使をやるからな」
 だからだというのだ。
「今から晩飯でな」
「こちらで召し上がられますか」
「宜しくな」
「それでお金は」
「ああ、日本の金だな」
 ユウマエルは金と言われてすぐに答えた。
「安心しろ、天界から高給貰っててな」
「日本円もありますね」
「ああ、だから晩飯食ってもいいよな」
「はい、では背中の翼は収めて」
「隠すな」
「それでお楽しみ下さい」
「それじゃあな」
 こうした話をしてだった。
 ユウマエルは居酒屋で一杯ひっかけてそれを夕食とした、そしてこの時から横浜駅とその周辺の守護天使を務める様になったが。
 その一帯で困っている人達がいれば助けて騒動を収めもした、だが。
 その中でだ、彼は川上に店で飲んでいる時に言われた。
「お仕事は大変でしょうか」
「いや、別にな」
 今は白ワインを飲んでいる、それで刺身を食べつつ応えた。
「天使だからな」
「お力があるので」
「だからな」
 それでというのだ。
「特にな」
「何でもないですか」
「楽だよ」
 そうだというのだ。
「俺にとってはな」
「そうなのですね」
「ああ、だから心配しないでくれ」
「わかりました、ただ急に横浜に来られましたが」
 川上はカウンタ―の席に座っているユウマエルに問うた。
「どうして来られましたか」
「新幹線で来たんだよ」
 ユウマエルはあっさりとした口調で答えた。
「天界の駅からな」
「新幹線で」
「実は天界まで新幹線が直通していてな」
 それでというのだ。
「天界の宮殿前の駅からな」
「新横浜駅ですね」
「新幹線のな、そこからな」
「来られましたか」
「そうだよ、新幹線はな」
 日本が誇るこの鉄道はというのだ。 
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