一パーセントからの結末
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第三章
「この時はカープがね」
「まさかの状況になってか」
「そのことで頭が一杯で」
「考えられなかったな」
「ええ、けれどね」
その状況がというのだ。
「クライマックス観ていると」
「まさかだったよ」
今度は寿が憮然として言った。
「阪神勝つつもりだったよ」
「ベイスターズにね」
「四位だったんだぞ」
九月まではというのだ。
「相性も悪くなかったしな」
「勝てると思っていたわね」
「巨人に勝つかどうか」
クライマックスファイナルでというのだ。
「そのことを考えていたよ」
「お兄ちゃんもね」
「そうだった、しかしな」
その状況がというのだ。
「土曜日負けて」
「まずは一敗ね」
「ここから連勝って思ったら」
それがというのだ。
「連敗したよ」
「日曜日は打たれまくって」
「惨敗して」
そうなってというのだ。
「気付いたら」
「阪神負けてたわね」
「予想していなかったよ」
寿は憮然として述べた。
「僕もな」
「私もよ、言ったら悪いけれど棚ぼただったから」
そうしたクライマックス進出だからだというのだ。
「それでね」
「阪神に勝つこともな」
「私も阪神勝つと思っていたわ」
「応援していなくてもか」
「相性でも戦力でもね」
そのとちらを見てもというのだ。
「阪神が勝つって思っていたわ」
「そうだったな」
「けれどクライマックスに出て」
そうしてとだ、あらためて言った。
「こうなったら」
「巨人に対してな」
「勝って欲しいと思ったわ」
「僕もだよ」
寿も同じ考えだった。
「巨人にはな」
「そう、あんなチームにはよ」
「勝って欲しくないからな」
「ベイスターズにはね」
千佳が言うには棚ぼたでクライマックスに出たこのチームにというのだ、兄に対してさらに言うのだった。
「勝って欲しかったけれど」
「望み薄と思ってたな」
「だから四位だったチームが」
九月まではというのだ。
「クライマックスまでいっても」
「仮にも相手は優勝したチームだからな」
「勝てる見込みはね」
「薄かったな」
「そう思ってたわ、大体ね」
千佳はさらに言った。
「ファイナルは優勝したチーム有利だから」
「一勝のアドバンテージな」
「これが大きいから」
何と言ってもという口調で話した。
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