金木犀の許嫁
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第四十三話 百貨店その六
「どうしてもです」
「恥ずかしいわよね」
「そうですよね」
「私もね」
夜空もと答えた。
「ちょっとね」
「露出が多いとですね」
「恥ずかしいわ、けれどね」
「けれど?」
「競泳水着は体形が出るから」
「そうなんですか」
「ビキニよりもずっとね」
白華にこのことを話した。
「だからね」
「それで、ですか」
「かえって勇気がいるわよ」
「恥ずかしいですか」
「そうなのよ」
これがというのだ。
「実はね」
「そうなんですね」
「そう、むしろビキニの方がね」
「スタイルは出ないですか」
「そうなのよ」
「殆ど下着のデザインで」
白華は夜空にそれでと話した。
「かなりです」
「競泳水着より恥ずかしいと思うでしょ」
「そうですが」
「私も最初そう思ったけれど」
それでもというのだ。
「これがね」
「実はですか」
「アイドルの人達のグラビアとか観たら」
そうすればというのだ。
「実はね」
「それがですか」
「ビキニよりもね」
「競泳水着だとスタイルが出るんですね」
「だからグラビアで着るのよ」
グラビアでというのだ。
「スタイルを見せる為に」
「まさにその為にですか」
「しているのよ」
「そういうことですか」
「だからね」
それでというのだ。
「競泳水着だと」
「スタイルがはっきり出るので」
「身体にぴっしりとフィットするから」
競泳水着はというのだ。
「そうなるわよ」
「じゃあ着ても露出が少なくて恥ずかしくない水着は」
「後は半ズボンタイプのね」
「部屋ぎみたいな水着もありますね」
「そうした水着よ」
「あの、ああした水着は」
白華は真昼の今の言葉にはどうかという顔で返して言った。
「どうにもです」
「好きじゃないでしょ」
「はい」
そうだと答えた。
「どうにも」
「水着に思えないから」
「確かに露出は少ないですが」
「白華ちゃんは水着を着たいのね」
「そうです」
「そうなのね」
「半ズボンタイプはです」
そうした水着はというと。
「好きじゃないです」
「水着に思えなくて」
「半ズボンです」
あくまでというのだ。
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