インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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AIに愚痴る
一夏からメールを受け取り、風呂を堪能した翌日。
「み、みなさん、おはようございます……」
何故か山田先生がフラフラだった。だから俺は待っている栄養ドリンクを渡した。気休めだが、飲んでいて損はない。
そのことを言い聞かせると、山田先生はかなり疲れていたのかその場で飲んだ。そして本題に入った。
「今日は、ですね……みなさんに転校生を紹介します。転校生といいますか、既に紹介は済んでいるといいますか、ええと……」
また転校生………いや、まさかね。
ちょっとした自分の疑問に思わず噴いてしまった。
「じゃあ、入ってください」
「失礼します」
やっぱり………
「シャルロット・デュノアです。皆さん、改めてよろしくお願いします」
なるほどね。つまり、そういうことか。正体をバラシたのか。
「ええと、デュノア君はデュノアさんでした。ということです。はぁぁ……また寮の部屋割りを組み立直す作業が始まります……」
……後で栄養ドリンクを送ってあげよう。
「え? デュノア君って女……?」
「おかしいと思った! 美少年じゃなくて美少女だったわけね」
「って、織斑君、同室だから知らないってことは―――」
「ちょっと待って! 昨日って確か、男子が大浴場使ったわよね!?」
「それじゃあ、風宮君も交えた三人で………」
何か訳の分からない妄想が膨らんでいく中、
―――バシーン!!
教室のドアが蹴破られたかのような勢いで開いた。
「一夏ぁっ!!!」
うわぁ。面倒なことが起こった。
女子たちがすぐに後ろに走る。そして場所は、
(俺の後ろかよ)
俺は仕方なく鎖で球体を包む。もちろん、危険なので山田先生も回収済み。
『死ね!!!!』
―――ズドドドドオンッ!
大きな衝撃に襲われるが、俺たちは無事だった。
それを庇ったのは、ラウラ・ボーデヴィッヒだった。
「助かったぜ、サンキュ。……っていうかお前のISもう直ったのか? すげえな」
「……コアはかろうじて無事だったからな。予備パーツで組み直した」
「へー。そうなん―――むぐっ!?」
俺たちは今、固まっていた。いや、俺は冷静だった。
「新聞部が見つけたら、『外号! 織斑先生の教え子が恋愛!』とかそんなタイトルの新聞ができそうだな」
『いや、そうじゃないでしょ!』
何故か全員に突っ込まれた。
「お、お前は私の嫁にする! 決定事項だ! 異論は認めん!」
「……嫁? 婿じゃなくて?」
というか、その言い方だと………まるでオタクだな。
「あ、あっ、あ……!」
あ、これヤバいな。
俺は鎖を展開して準備する。
「アンタねええええっ!!!」
「待て! 俺は悪くない! どちらかというと被害者サイドだ!」
「アンタが悪いに決まってんでしょうが! 全部! 絶対! アンタが悪ぐぇ………」
急に凰がカエルを押しつぶしたような声を発する。
「まったく………。お前ら、頭大丈夫か? というか代表候補生ってろくな奴がいないな」
「かざみん。その中にかんちゃんは入ってる?」
「俺が入れるとでも?」
「かざみんだからないと信じてる~」
「つまり、そういうことだ」
今、既にIS展開済みの凰、オルコット、デュノアには首を拘束。篠ノ之は鞭を打つように正気に戻させた。
「………で、頭を冷やしたか? 国の面汚し共」
「ちょ、そんな言い方ないでしょうが!!」
「へ~、国家代表候補生が高々恋愛ごときでうつつを抜かした挙句に気に入らないのなら即刻処刑ですか。これが外に漏れたらどうなるだろうな~」
「クッ………」
「まぁ、問題はヘタレ精神だな。キスくらいでガタガタ抜かすなよ。まぁ、これでボーデヴィッヒがリードと」
まさかキスだしな。
するとボーデヴィッヒがこっちに近づいてきた。
「……風宮、少しいいか」
「それはこの時間が終わってからでいいか? ほら―――」
俺が指さす方向に織斑先生が既に現れていた。
「ボーデヴィッヒ。それは急ぎの用事か?」
「いえ。ちゃんとした謝罪……です」
「……いいだろう。ただしあまり時間は取るな。いいな」
「はい!」
「了解」
その後、なんとかボーデヴィッヒは簪さんと仲直り(?)できた。……というか、本人も驚いていたな。
■■■
さて、もうそろそろ水着の季節。
俺はそんなことはどうでもいいとばかりに新武装を造りまくっていた。
もちろん、お風呂に入ることも欠かしていない。お風呂最高!―――って程じゃないけど、それでも日頃の疲れが癒されるという点では俺も好きだ。
『湯加減はどうでもすか、マスター』
(マスターは止めろ、セバス。意外にも虫酸が走る)
誰もいないとは言え、廊下なので俺はしゃべらない。
(それで、ドイツの工場はやっぱり消えた?)
『ええ。………それで、どれくらいの記憶が戻ったのですか?』
(あの施設にいたことは覚えているよ。だけど、その前の記憶がない)
『……そうですか。では、篠ノ之束に関しても?』
(まぁな。うっとおしいことにな)
今でもあのキモ声と俺が鹵獲した無人機を思い出す。あの時は本当にキレた。だって―――
(たかがVTシステムを持っているだけで消されるんだもんな………)
俺の部屋に害がなかったのは、やはり俺みたいな頭脳を殺さないためだろうし。
『……あの、VTシステムは使用が禁止されているんじゃ………』
(禁止になる前だよ。俺たちが研究してたのは。それに……)
『それに?』
(俺たちは一切VTシステムを悪用する気はなかった。それがどんな恐ろしいものか知っていたし)
『そういえば、あの時は「最強を目指すぜヒャッハーッ!!」とか言ってましたもんね』
(そんなこと言ってない。まぁ意味合いは間違ってはいないだろうけど。とにかくはシミュレーションを作りたかったんだよ)
『それでパターン解析を私に頼んだと? そしてその間にドカーンッと?』
(まぁ、そうなんだよなぁ………)
そしてブチギレたのである。
(ところで、このことを報告したら敵さん大変じゃないか?)
『あなたは本当に恐ろしいですね』
後書き
なにやら祐人が怪しいことを企んでいるようです
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