犬とピクニック
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第一章
犬とピクニック
今度の休日何処に行くかとだ、ふわりの家族である国咲家の面々は真剣に考える顔で話をしていた。
まずはだ、息子の洋介が言った。
「俺仕事だから」
「だったら仕方ないな」
「二人で行ってきたらいいよ」
「そうだな、折角会社の人に誘われてな」
家の父である文太は言った。
「ピクニックに行くけれどな」
「二人で行ってきたらいいだろ」
洋介は素っ気ない声で告げた。
「俺は仕事だからな」
「そうだな、じゃあ仕事頑張れよ」
「そうしてくるな」
「お前はお前の休日を楽しむんだな」
「今度の休みカラオケ行くな」
息子はこう言うだけだった、そして。
文太はあらためてだ、妻の百合子に言った。
「二人で行くか」
「そうね、ただね」
百合子は頷いてから夫にこうも言った。
「私達はいいけれど」
「ああ、ふわりか」
「ふわりはどうするの?」
今はケージの中で寝ている彼女を見て言った。
「それで」
「留守番してもらうのもな」
「寂しい思いさせるでしょ」
「そうだな」
「ピクニックに行く前と行く後は散歩に連れて行くけれど」
日課であるそれにというのだ。
「行ってる間はね」
「どうするか」
「そう、どうするの?」
「そうだな」
文太は妻の言葉を受けて腕を組んで考えた、そしてだった。
自分のスマートフォンを出してだ、電話をかけて出た相手と少し話してからそのうえで妻に言った。
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