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優しい母猫は子猫達と一緒に

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第一章

                優しい母猫は子猫達と一緒に
 医師の日系アメリカ人のタクヤ=カトウはロサンゼルスの自宅を完全に和風の屋敷にしている。そこで家族と共に暮らし。
 日本風の庭に大きな池をもうけそこで鯉達を飼って餌をやるのを日課にしているが。
「日本ではこうするんだ」
「最近する人も少なったみたいだね」
 家に来た友人に話した。
「錦鯉達を飼うのはね」
「自分の家のお庭でだね」
「そうなんだ、けれど僕はね」
 白人の友人に笑顔で話した。
「かつての日本人みたいにだよ」
「鯉達を飼って楽しむんだね」
「自分の家でね」
 こんな話をしながらだった。
 カトウは自宅の庭の池の鯉達に優雅に餌をあげていた、見れば着ている服も和服で完全に日本である。
 その日本を楽しむ中でだ、彼は友人に言われた。
「庭に猫が入っているよ」
「そうだね」
 友人が指差した方を見るとだった、木々の間に。
 焦げ茶色の毛の痩せた猫がいた、カトウはその猫を見て言った。
「近所の子かな」
「鯉を取らないかな」
「小さな子だからね」
 カトウは友人にそれでと話した。
「うちの鯉達は皆大きいから」
「襲えないね」
「大丈夫だよ」
 友人に笑顔で話した。
「そのことはね」
「だったら安心だね」
「うん、けれどね」
 カトウはその猫を見て友人にあらためて言った。
「痩せているね」
「確かに」
 友人もその猫を見て頷いた。
「野良猫らしいね」
「随分と痩せているよ、それじゃあ餌をあげようか」
「そうするんだね」
「うん、そうするよ」
 こう言って実際にだった。
 カトウは一旦家の中に戻って冷蔵庫から今日の夕食にと妻が買っておいた魚から一尾取ってそうしてだった。
 その魚を猫の前に置いた、すると。
 猫はその魚を取って何処かに消え去った、それからだった。 
「毎日かい」
「そう、ご飯をあげていてね」
 カトウは畳の部屋の中で友人とそれぞれ座布団に座って卓を囲んで向かい合ったうえで彼に話をした。
「それでだよ」
「何処から来たのか気になって」
「こっそり後をつけたらね」
 そうしたらというのだ。 
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