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星河の覇皇

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第八十七部第四章 首相官邸にてその三十三

「本当に」
「問題のある人でしたね」
「偉人でもね」
「決して聖人君子ではなかったですね」
「聖人君子はね」
 伊東は小柳に話した。
「偉人の中にいても全ての偉人がそうであるかというと」
「違いますね」
「ええ、そして聖人君子であっても」
 そう言われる様な人物でもというのだ、伊東はその深い人間観察で以てそのうえで小柳に対して語っていった。
「人間ならね」
「欠点がありますね」
「ルターにしてもね」
 プロテスタントのはじまりとなった彼もというのだ。
「お酒は止められなかったわ」
「ビールが好きで」
「ビールの害毒について何時間も講義して」
 そうしてというのだ。
「その後でよ」
「ビールを何杯も飲んでいましたね」
「子煩悩で世話焼きで人間味もあったけれど」 
 そうしたところは好感が持ててもというのだ。
「けれどね」
「お酒が好きで」
「それが中々止められなくてね」
 それでというのだ。
「痛風にも悩んでいたわ」
「ビールの飲み過ぎですね」
「そう、もうその原因はね」
 まさにというのだ。
「まずね」
「ビールのせいでしたね」
「そうよ、人間は誰でもね」
「欠点がありますね」
「そして彼もね」
 八条もというのだ。
「欠点があって」
「そしてその欠点はですね」
「恋愛に疎いことよ」
 自分に対するそれだというのだ。
「だからね」
「それで、ですね」
「そう、本当にね」
「このことはですね」
「もう骨が折れるとね」
 その様にというのだ。
「覚悟してね」
「ことを進めていかれますね」
「そうしていくわ」
「そうですか、このことについては」
 小柳は自分としてはと伊東に述べた。
「総理がですね」
「ことを進めていくわ」
「それでは」
 小柳も頷いた、そしてだった。
 太陽系での仕事を進めていった、その間彼女はアッチャラーンの謀略の芽になることは注意していた。そのうえで金とも会談の場を持ったが。
 金とは順調に会談が出来た、それで上機嫌でことを進められたが。
 金はその会談の時にオフレコで彼女に話した。
「一ついいでしょうか」
「何でしょうか」
「近頃中央政府と各国政府の関係が悪化していますね」
「だからですか」
「謀略もです」
「中央政府からですか」
「仕掛けらていますね」
「承知しています」
 既にとだ、小柳は金に答えた。会談の場は二人だけでしかも密室であるのでオフレコを聞かれることもなかった。 
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