金木犀の許嫁
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第四十二話 プールその五
「大好きです」
「タイオウなのね」
「はい」
実際にというのだ。
「あの人は」
「そうなのね」
「兎に角背の高い人がです」
そうした人がというのだ。
「好きでして」
「それでなのね」
「はい、それでもですね」
「小柄な人が好きな人もいるよ」
「人それぞれですね」
「そうよ」
実際にというのだ。
「そこはね」
「そうなのですね」
「だからコンプレックスはね」
「自分が思うことですね」
「それに過ぎなくて」
それでというのだ。
「私そうしたことがわかったから」
「だからですか」
「今はね」
何でもないといった口調で話した。
「そうなったのよ」
「髪の毛の色も」
「何とも思わないわ」
「そうですか」
「だって思ってもね」
そうしてもというのだ。
「意味ないしね」
「真昼さんだけのことで」
「誰にも迷惑かけないしよく見たらね」
その髪の毛の色もというのだ。
「悪くないしね」
「そういえば」
真昼の今の話を聞いてだ、白華ははたと思い出した顔になって話した。
「トム=ソーヤーですが」
「あの小説の主人公ね」
「巻き毛なのを気にしていましたね」
「女の子みたいだってね」
真昼もこの作品を読んだことがある、それで知っていて白華の言葉に頷きながらそのうえで応えた。
「気にしていてね」
「コンプレックスにしていますね」
「そうでしょ」
「気にしなくていいのにと思いました」
読んでいてというのだ。
「私は」
「それがコンプレックスよ」
「そうなのですね」
「本当に自分だけのことで」
「自分が気にしていて」
「実は他の人が何でも思ってないとかね」
そうしたことがというのだ。
「多いのよ」
「そうですか」
「だから気にしないことよ」
「コンプレックスに感じることは」
「別にね。それよりもね」
真昼はさらに話した。
「やっぱり努力して」
「自分を磨くことですね」
「そう、それがね」
まさにというのだ。
「一番ね」
「いいことですね」
「何かを必死にやっていたら」
そうしていればというのだ。
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