ラグクラフトの問題点
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第一章
ラグクラフトの問題点
クトゥルフの小説、それもハワード=フィリップス=ラヴクラフトの作品を読んでだった。
大学生の森阿礼、眼鏡をかけて細面で黒髪をロングにしている長身の彼は眉を顰めさせて所属しているオカルト研究会の先輩ジェーン=ケイシー赤髪をポニーテールにしていて細い目と狐の様な顔立ちにすらりとした「長身の彼女に言った。
「面白いですが何かと気になるところがあります」
「ラグクラフトの本でよね」
「はい、確かに怖くて」
部室でケイシーに話した。
「独自の世界があります」
「それが凄いのよね」
「独自の神話を形成していて」
「生前は殆ど知られていなかったけれどね」
ラグクラフトは実はそうであったのだ。
「パルプマガジンにばかり書いていてね」
「生きていた頃はですね」
「もうね」
それこそというのだ。
「あまりね」
「知られていなかったですね」
「そうだったのよ、けれど今はね」
「色々な人がその作品世界を書いている」
「漫画でもゲームでもね」
「そんな人そうはいないですね」
「ええ、流石にね」
ケイシーはその通りだと答えた。
「本当に」
「そうですよね、けれど」
森はそれでもと話した。
「人種的偏見強いですね」
「当時のアメリカは人種的偏見強かったけれどね」
「あの、それでもですよね」
「そう、彼は当時でも問題視される位ね」
そこまでというのだ。
「人種的偏見は強かったのよ」
「そうですよね」
「読んでいてわかるわね」
「物凄く出てるんで」
森は真顔で答えた。
「わかります、ワスプ以外の白人もです」
「差別しているわね」
「特にアフリカ系の人を」
「それが問題ね」
「そう思います」
「私東部のニューイングランドで生まれたけれど」
「ああ、あの人の出身地ですね」
森はすぐに応えた。
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