星河の覇皇
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第八十七部第四章 首相官邸にてその三十
「非常にね」
「それでも有名でしたね」
「けれどヒトラーはね」
「エヴァ=ブラウンとのことも」
「側近ですら知らない人がいたわ」
グーデリアンの様な軍の上層部にいて長い間ヒトラーの傍にいた者でもだったのだ。
「それ程だったわ」
「結婚したのは最後の最後で」
「兎角女性のお話はね」
「なかった人でしたね」
「色々問題はあったけれど」
連合では人類史上最悪の悪人の一人なのでこう言われている。
「それは彼の思想や政策で」
「人種差別と独裁と弾圧ですね」
「そうしたことが問題であってね」
「私人としては」
「批判されるところはなかったわ」
私人としてのヒトラーはというのだ。
「決してね」
「むしろ賞賛される程でしたね」
「まるで真面目な宗教家だったわ」
そこまでだったというのだ。
「宗教家でも堕落するとね」
「中世のバチカンの様にですね」
「酒池肉林を楽しむわ」
「カルト教団によくありますね」
「信者には極めて禁欲的な生活を強制して」
教理によってそう定めてだ。
「そのうえでね」
「教団の教祖はですね」
「酒池肉林というのはね」
「よくありますね」
「特に異性にね」
性に対してというのだ。
「極めて貪欲でね」
「それで、ですね」
「多くの愛人を密かに持って」
ここで教理を使うこともある。
「そうしてね」
「色に溺れていますね」
「信者には色々言ってね」
教理で禁欲、色欲についてのそれも強制してというのだ。
「それでね」
「そのうえで、ですね」
「そう、そしてね」
それでというのだ。
「日々快楽という悪質な事例もあるわ」
「そうですね、しかしヒトラーは」
「女性についてもよ」
「極めて清潔でしたね」
「そうだったわ」
まさにというのだ。
「彼はね」
「エバ=ブラウンがいても」
「彼女だけでね」
「ほぼ女性のお話がないですね」
「姪御さんについての思い入れは強かったらしいけれど」
やたら過保護でその死を知った時は再起不能になるのではないかという程までに落ち込んだという。
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