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臭いから風呂に入って

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第二章

「俺もな」
「あとお洗濯も念入りにしてね」
「職場でもか」
「汗をかいたらすぐに着替えてね」
 そうしてというのだ。
「お洗濯してね、洗剤をしっかり使って」
「そうするな」
 妻に約束した、こうして入浴の時しっかり湯舟に浸かりオーデコロンも用いて洗濯もする様になってだった。
 匂いはしなくなった、それで美奈代はどう言ったかというと。
「臭くなくなったけれど」
「いいな」
「何でファッション変わったのよ」
 昔はラフな服装だった父にこう言うのだった。
「スーツに金のネックレスやブレスレットって」
「何かそうした恰好したくなったんだ」
「今の体臭だと」
「不思議とな」
「だってあなたそうした筋の人が使いそうなコロン使ってるから」
 妻は夫にだからだと話した。
「それでよ」
「ヤクザ屋さんみたいなファッションになるか」
「普通のでいいから」
 こう言うのだった。
「あくまでね」
「何かよさそうな香りだから使ってるけれどな」
「今度いいコロン買ってくるから」
「それ使えばいいか」
「ええ、少なくともね」
 夫にどうかという顔で話した。
「私が見てもね」
「こうしたファッションはよくないか」
「だからね」
「じゃあそうしたコロン頼むな」
「臭いでファッションって変わるものなのね」
「俺はそうかもな」
「臭くないのはいいけれど」
 娘はどうかという顔でこうも言った。
「ヤクザ屋さんみたいになるのもね」
「駄目か」
「あくまで普通よ」
「体臭もファッションもか」
「そうであって欲しいわ」
 父にややジト目で告げた、そうしてだった。
 父が母が買ってきた金木犀の香りのオーデコロンを付ける様になると何も言わなくなった、それは父のファッションが戻ったからであり。
「臭くないと言わないから」
「そうなんだな」
「ええ、じゃあこのままでいてね」
「そうするな、娘に臭いって言われるのは嫌だしな」
「ファッションでもよね」
「だからそうするるな」
「そうしてね」
 こう父に言った、そしてだった。
 以後体臭やファッションの話はなくなった、ただ普通の家庭になったのだった。


臭いから風呂に入って   完


                     2024・11・18 
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