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ハッピークローバー

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第百四十八話 本物その十六

「してるわ」
「私達だってね」
「けれどあの人はしてないのよね」
「一度もね」
「あれでしょ」
 理虹はこう前置きして語った。
「あの人自分は偉いって思ってたのよね」
「それでこの世で一番ね」
「偉いんだったら」
 それならというのだ。
「人助けはね」
「して当然よね」
「それもこの世で一番なら」
 そう思うならというのだ。
「キリストさんみたいにね」
「誰でも助けようってね」
「思ってね」
「助けてるわね」
「けれどそもそもね」
 留奈は嫌悪を露わにさせて話した。
「誰かを助けようなんて」
「しない人よね」
「思うことすらね」
 それこそというのだ。
「微塵もよ」
「なかったのよね」
「その癖ね」
 そうであってというのだ。
「何でか知らないけれど偉いって思ってたのよ」
「お仕事してなくてお金も資格もなくて」
「地位とかもね」
「何もなくてよね」
「普通かそれ以下の高校出てるだけで学歴もね」
「なくて」
「本当に何もないのに」
 それでもというのだ。
「自分はこの世で一番偉いで」
「そんな有様ね、そうした人もなるのね」
 理虹はここまで聞いて心から思った。
「餓鬼に」
「絶対になるわね」
 留奈も言った。
「この人は」
「そうよね」
「ならない筈がないから」
 それこそというのだ。
「もうね」
「そうよね、富美子の言う通りそんな人がなるんだったら」
「布施餓鬼したくないわね」
「無駄というかね」
「やる気にならないわよね」
「そんな人がなると思ったら」
 それこそというのだ。
「どうしようもない屑がなるんだからね」
「思わないわね」
「もうそのままね」
 餓鬼になったうえでというのだ。
「ずっと苦しんで反省しろ」
「そう思うわね」
「それで私達としては」 
 理虹はどうなのかと言った。
「やっぱり富美子の言う通りにね」
「こうはなるまいよね」
「餓鬼にはね」
「そうなるわね」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「やっていくことね」
「努力しないとね」
「思いやりや優しさもないと」
「この人そういうのもなかったみたいだし」
 思いやりや優しさも持てなかったというのだ。
「ただひたすら自分が偉い」
「そう思うだけの人ね」
「そうであってね」
 それでというのだ。 
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