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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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オルテガの影

<ラダトーム>

「あ、おはようございます父さん!」
昨日は、宿屋周辺の人々を巻き込む騒ぎを起こした大食堂に、ティミーの一際爽やかな挨拶が響き渡る。
「おはようティミー…彼女(アルル)はどうした?」
「此処にいますよリュカさん!」
ティミーの後ろから、肌艶の輝いているアルルが姿を現す。
「あぁ…今日は朝から元気そうだね2人とも…」
2人は、これ以上ないくらい爽やかに…そう、まるで溜まっていたナニかが吹き飛んだ様に爽やかに、リュカ等に挨拶をしながらテーブルに着く。

一晩中説教をされていたマリーとウルフは、まだベッドから起きて来れず…
リュカの部屋の隣で寝ていたカンダタとモニカは、壁越しに伝わってくるリュカの怒気が強烈で、一睡も出来なかった為、まだ起きては来ず…
ラーミアはリュカに殴られた事で一晩中泣き愚図り、一緒の部屋のミニモンとアメリアも寝る事が出来ず、やはりまだ夢の中…
大食堂の広いテーブルには、リュカ・ビアンカ・ハツキ・ラングストン、そしてアルルとティミーしか居らず、実は皆寝不足なのだ!(寝不足理由は大きく異なる)

そんな中、あえてリュカの近くに腰を下ろしたティミーとアルルが、寝不足で大欠伸をするビアンカやハツキに聞こえない様に、小声で(リュカ)に礼を述べた。
「父さん…昨晩はマリー達を連れて行ってくれてありがとうございました。」
「ん?何だ…気が付いてたのか…」
リュカは息子の言葉にニヒルに笑い、静かに食事を続けてる。

「いえ…父さんの拳骨の音で気付きました。アレがなければ気付かず、全部覗かれるところでしたよ………それに、仮に気付いたとしても、もう止められない状況でしたけど…(笑)」
アルルもティミーも、真っ赤になって笑っている。
《良かった…アレがトラウマにでもなったらと思うと…流石は俺の息子って事かな?アルルも、オルテガの血が混じってるし、あれぐらいでは大丈夫か…》
リュカは息子カップルの成長を心底喜びながら、表情を整え改めて昨夜の詫びを申し入れる。

「昨日は本当に済まなかった!昨日も言ったが、お前達があんな早い時間から、あんな事をするとは思ってなかったから…本当にごめん!」
「父さん…早い時間って言いますが、こっちの世界は常に暗くて、時間感覚など麻痺してしまいます!常に夜中の様で、彼女(アルル)と2人きりになったら、ムラムラしちゃいますよ!(笑)」
珍しく自らの失敗を何時までも悔やんでいるリュカに、ティミーが軽口を返し慰める。
アルルも恥ずかしそうではあるが、しっかりとリュカの顔を見つめ微笑んでいる。
まさか息子(ティミー)にフォローされるとは思っておらず、息子の成長が嬉しく感じる(リュカ)だった。




さて、覗き小僧及び覗き小娘を叩き起こし(正確には蹴り起こした)、全員揃った所でラダトーム城へと赴くアルル一行。
早々に国王への謁見が叶い、王の御前に通される一行…
「ちっす!今度、大魔王ゾーさんを倒す為に表の世界よりやって来た勇者一行ッス!」
昨晩の失敗で、少しは自重するかと思いきや、跪きもせず話し出すリュカの姿が…
「な………そ、そうか…ゾーマを…」
流石の国王も開いた口が塞がらず、側近等も怒る事さえ忘れている…

「ちょ、父さん!せめて跪いてくださいよ!」
「そうですよ!何て口の利き方ですが!相手は国王陛下なんですよ!!」
パーティー内の良心2人が慌ててリュカに注意するが…

「あ!?そうか…一応お偉いさんなんだっけ?偉そうに見えないから忘れてたよ(笑)」
2人の胃痛が最高潮に達した時…
「わ~はっはっはっ!おヌシは似ておるのぉ…あのオルテガに!」
と、とんでもない一言を笑いながら言うラダトーム王!
「へ、陛下はご存じなのですか?私の父…オルテガを知っているのですか?」
先程までの胃痛も吹っ飛び、縋り付く様に尋ねるアルル。

「ほう!?おヌシはオルテガの娘なのか!?うむ、知っておるぞ、あの者は気持ちの良い男じゃ!………それにしても、こんな大きな娘が居るのに、侍女達をナンパしおって…わっはっはっは!」
国王は豪快に笑いながらオルテガを語る…そして側近等も一緒に笑っている。
「あ、あのクソオヤジ…見つけ出して絶対ぶん殴る!」
恥ずかしいのか、怒っているのか…それとも照れているのか、顔を真っ赤に染めて呟くアルル。

「わっはっはっは!…して、そちらのターバンの男よ!おヌシはオルテガの何じゃ?見た目は似ておらぬが兄弟か?言動が同じだが…」
「違うよ。僕は一人っ子だよ。こんなイケメンが他にいる訳無いじゃん!」
「そうかそうか…外見はともかく、どんな人生を送れば、おヌシ等の様な性格になるのか…知りたいものだな大臣よ!」
王様は腹を抱えながら笑い、直ぐ側の大臣に語りかける。
「えぇまったくですな!あの性格生成の方法を突き止め、国家事業として規制せねば大魔王以上の驚異になりますぞ!(笑)」
「わっはっはっは!まさにその通りじゃ!」
謁見の間は笑いに包まれている…
呆けるアルル一行を余所に、国王や側近等が挙って大爆笑している…因みにアルル一行のリュカは、大爆笑の輪に加わっている。(何でお前が笑ってんの?)


「………で、オルテガの娘は何故にこの闇の地アレフガルドへ来たのだ?父を追って此処まで来たのかな?」
笑い終えた国王が、優しい口調で問いかける。
「あ…い、いえ…私達は表の世界で魔王バラモスを倒しました。ヤツを倒せば世界に平和が訪れると思っていたので…しかし、バラモスの裏には大魔王ゾ-マの存在があり、ヤツを倒さないと世界に平和が訪れないと聞きまして…」
「なるほど…バラモスか…アイツはゾーマの手下の一人…おヌシ等の世界も手中に収めようと、先に派遣したのだろう…」
先程までの大爆笑が嘘の様に、神妙な表情で語り出す王様。

「そうなんッスよね!手下だったから簡単に倒す事が出来たんだけど、ゾーさんを倒さないと平和が来ないって事じゃん!?だから渋々だけどこの世界まで来たっちゅーわけよ!」
リュカの軽い口調に、ティミーの胃痛が再開する。
「んでね、ゾーさんの所に行くには『太陽の石』ってアイテムが必要なんだってさ!それがこの城のどっかにあるらしいんだけど、王様は知ってる?知ってたらくれない?ゾーさんを倒してきてあげるからさぁ…」
「お、お願いだから敬語を使ってくださいリュカさん…」
半泣きのアルルがリュカのマントの裾を掴みながら呻く。

「はっはっはっ…良いのだオルテガの娘よ。おヌシの父も、同じようにワシと話す男じゃった!飾らぬ面白い男じゃったぞ!………もっとも、初対面時は流石に敬語じゃったがなぁ…」
「も、申し訳ございません…」
アルルは俯き、そう言うのが精一杯だった。
「しかし…『太陽の石』とな…?聞いた事無いのぉ………誰が聞き覚えのある者は!?」
「「「……………」」」
国王は側近の者達にも問いかけるが、誰一人知っている者は居らず、皆黙っている。
「ふ~む…やっぱり知らんのぉ…知っておればオルテガに授けておるよ!」

意外と話の分かる国王様だったが、『太陽の石』の事は知らない様子。
マリーの情報はガセでは無いのだが…どうするアルル!
アレフガルドに来て、さほど冒険はしてないのに、既に暗礁に乗り上げ気味だ!



 
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