故郷は大空にあり
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第九話 居酒屋番長
「んん…F/A18…まだ寝させて」
「提督!提督!今何時だと思ってるの?」
「午後5時くらいじゃないかな…?」
「時計みて、私も提督も寝過ぎちゃったかも…?」
「午後8時か…午後8時!?」
「うん。」
「休日が潰れてしまった…まあ、いいか。」
「夕飯どうする?提督」
「んー…目当てもないな。コンビニでも行って買ってくるしか…」
「そうだ!自分の友達?がやってる居酒屋があるんだけどさ、行かない?」
「居酒屋ねぇ…いいね、行くか。」
「じゃあ待ってて。色々してくるから、さ」
「わかった。」
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「提督、歩いていく?」
「そんなに近いのか?」
「歩いて行けるとは思うよ。」
肌寒いこの時期に、海からの風が吹く。
静かな夜の時間に、海の波がぶつかり、自然な音を奏でる。
とても綺麗だと思う。ずっとこれを守りたい。
少し欠けた月の月光が地面を照らす。
「提督、お酒は好き?」
「まあまあだな。そこまで飲める訳でもない。」
「私と一緒だね。」
「そうなのか?」
「まあ、そんなところかな。」
「F/A18、」
「なんだい?」
「ああいや、何でもなかったかも。」
「提督がいいなら私も大丈夫だよ。」
その刹那、俺は見惚れてしまった。部下である、F/A18に。
ピンクの髪は、長く、透明のように光を通り、紅の色に光を染める。
透き通るような透明感のある肌と、きらめくその瞳は、瞳は、
その姿は美しく、美しく、ただただ、美しく。
手を触れたら壊れそうなくらいに、だが、手をそれでも伸ばしたいほどに…
「提督?ずっと見つめて…なにを」
「いや…特に理由はないんだ。」
「そうか…」
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「F2A、久しぶりだね」
「その声、F/A18だね?ここに来るのも久しぶりじゃないか?
隣にいるのは提督かい?」
「うん、夜遅くだけど飯食えてないから、少し来た程度だよ。」
「提督…ねぇ、いいじゃないか。仲良しで。」
「そこまで仲良い訳でもないけど…」
「まあいいだろう。ほら、席に着け。人も少ない小さい居酒屋だからな、綺麗な海が見える席に案内するよ。」
「友達なんだし、そんな堅苦しく行かなくていいでしょ。」
「そうだな、F/A18。」
「ほら、F2Aも集まろー、写真撮ろうよー」
「相変わらずだな。F/A18は。」
「F2Aもそうでしょ?ほらあの言葉。」
「いや…俺の空気ゼロじゃないか?てかあの言葉ってなんだよ。」
「いいの、ついて行って!」
「せーの、「居酒屋から空へ!」」
カシャ
「懐かしい気がするよ、F/A18。今考えてみれば、なんだか恥ずかしい合言葉だな。」
「考えすぎちゃダメってよく言ったし、いいの。」
「自分はカウンター戻るよ、そうだ、ご注文は?」
「そうだなぁ…私は昔のあれね。提督には私のおすすめ、(いつもの)を提供するよ。」
「お、おう、そうか。」
「はいよ!提督にはいつものあれね!F/A18は昔のあれ、わかった!」
「F2A、いつも済まないね、夜遅くに来てしまって。」
「大丈夫さ。」
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