彼は いつから私の彼氏?
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6-2
次の日 朝 私とお母さんは電車内で待ち合わせている道通さんと伝教寺さんとこと落ち合っていた。お母さんは、私の為に白い綿レースのワンピースに衿元にキラキラするブローチを揃えてくれていた。香ちゃんも半袖がふっくらとしていて衿元には細いリボンのブルーのワンピースで、どっちもお嬢さん風だった。
「香 可愛いね」
「水澄も可愛いよー ウチ等 アイドルのスカウト来るかもね」
「うふっ この 刈り上げじゃぁ 無理よー 男女なんだものー」
一真さんは相変わらずの白のポロシャツにベージュ色の綿のスラックス姿でシンプルなのだ。
「君達はいつも可愛い服で着飾って良いよなー お母さんが羨ましがっている 男の子はつまんないって」
「ふ~ん ウチ等は着せ替え人形じゃーぁないよですよー」
「いや それは お母さんが・・・」
「一真さんは いつも 白ですね 白が好きなんですか?」
「うん まぁ 無難かなって思ってー 白は好きなんだ 今日の水澄ちやんの白も眩しいよ」
「なんだー ウチも白の方が良かったのかなー」
「そーゆーぅ 意味じゃぁー 似合っているよ 香ちゃんも 可愛い」
「そーですかぁー 良かったぁー」と、香ちゃんはすぐに上機嫌になるのだ。
その後も、香ちゃんと一真さんは色んな話をしていたので
「香 ずいぶん 親密そうね」
「ウン ウチ 時々 一真さんのとこに行ってるネン ご飯の用意なんかもお手伝いしてる」
「へぇー そーなん? 彼女みたいやんかー」
「えへぇー まぁ 押しかけ彼女や」
と、言っているのに、一真さんは黙って聞いているだけで、否定もしていなかった。私も、どうでも良かったのだけど
「水澄ちゃんは 彼氏は?」と、突然の問いかけに
「えっ はぁ まぁ 特定の じゃーぁないですけどー」と、応えると
「ウソッ」と、香ちゃんが小さく言うのが聞こえた。まだ、知り合って間もないのだけど、やっぱり智子とは違うんだと思っていた。
「水澄ちゃん 日焼けしてるね」
「うん 福井の海に行ってたからー」
「福井かー 北之庄だね 現在の福井城は柴田勝家の時のとは違う場所なのだろうって知ってた?」
「あっ 柴田勝家ってお市の方と三姉妹を引き取った人でしょ!」
「そーだよ 水澄ちゃん 詳しいね お市の方は最初 嫌がっていたのだけど、浅井長政に嫁いで、仲睦まじくなって、三姉妹を生んだのだけど、長政が信長に滅ぼされて、その後は信長のもとで暮らしていてね。今度は、信長が明智光秀の謀反にあって、その後の信長配下の武将の会議で勝家に嫁ぐことになったんだよー」
「へぇー 一真さんの方が詳しい 受験勉強にそこまで必要ですかぁー?」
「いや たまたま 興味あったから、息抜きに・・・ こんな話もあるんだよ 勝家とお市さんは歳が離れていたからか 勝家はお市さんとは夫婦の間のことが無かったらしい そーいうこともあるからか、勝家の武将としての男らしさに お市さんは次第に情がわいて、最後は秀吉に攻められた時も、三姉妹は秀吉に託して、勝家とともに自害したとか」
「ふ~ん 夫婦になったのに してなかったんだー」
「ふふっ そう してなかったらしい もともと、信長の下についた時から、勝家はお市さんに憧れみたいものを感じていて、崇拝してたみたいだからー 手も触れられなかったんだろう」
「へぇー そこまでになると 男の人って 手を出しにくくなるんだー」と、香ちゃんも話に乗ってきた。
「・・・それは・・・どうだか・・・。信長が死んだ後の会議で、お市さんを勝家のもとにって、押したのは秀吉らしいんだ。当時、勝家が信長の筆頭家老みたいなもんだったから、秀吉は恩を売るつもりだったんだろう。勝家がお市さんのことを慕っているのを以前から知っていただろうからー それに、秀吉もねらっていたと思うけど、当時はまだ ねねさんも まだ若かったし、怖かったのだろう」
「そうかぁー 秀吉って女ったらしだもんねー」
「かもな 結局三姉妹のうち二人もものにしたもんなー それ以外にも、戦で留守にしている武将の妻を呼び寄せて、言い寄ったらしい 天下人だからやりたい放題なんだろう」
「男って 権力とお金を手に入れると 結局 女を弄ぶんだよねー 一真さんも そう?」
「えっ なんだよー 水澄ちゃん 厳しいこと聞いて来るなぁー そんなの そーなってみないと わかんないよー どんな気持ちなのか」
お昼すぎにホテルに着いて、すぐに私達3人は海に向かって、お母さん達は海辺のカフェでお茶をしていた。最初、私等女の子を前にぎこちなかった彼も、次第に浮き輪の取りっこをしているうちに、身体が触れ合っても自然と振舞っていたのだ。
そして、次の日はアドベンチャーワールドに行ったのだけど、香ちゃんは時々 彼と手を繋いだりして恋人気取りなのだ。私は、ふたりのデートに付き添いで来ているようなものだった。
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