神々の塔
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第八十八話 主その九
「懲罰大隊や」
「それに送るな」
「懲罰大隊はええもんや」
中里は明るく笑って話した。
「正規軍に犠牲を出さんで済む」
「ああ、何ならな」
羅も笑って言った。
「人間の盾にしてな」
「容赦なく囮にしてな」
中里は羅にも話した。
「正規軍の犠牲を減らす」
「そうも出来るしな」
「ええもんや」
「そやな」
「別に些細な罪を犯したモンを送るんやない」
ナチスはソ連はそうしていた、具体的には思想犯等である。
「悪質な犯罪を犯したな」
「そうした連中をな」
「送るさかいな」
十星連合ではというのだ。
「そやからな」
「ええことや」
「懲罰大隊は批判もされてる」
ナチスやソ連が行ったそれはだ、あまりにも非人道的であり残虐だと歴史的にも批判されてきているのだ。
「しかし問題は隊員や」
「どういったモンを送るか」
「それが問題でな」
そうであってというのだ。
「凶悪犯やとな」
「問題ないな」
「そや、凶悪犯は復活させてでもな」
そうもしてというのだ。
「そしてや」
「そのうえでやな」
「何度もな」
「危険な任務にあてるな」
「そや、若し逃げようとするなら」
「後ろから撃つ」
「そうする」
これは普通に行われていた、撃たれなくなければ地雷原を歩けということもしていた。そして使い捨てにしていたのだ。
「容赦なくな」
「銃がなかったら切る」
施も平然と言った。
「後ろに抜刀した正規軍立たせてな」
「所詮凶悪犯や」
「どないしてもええわ」
「そやから逃げるんならな」
「一度殺す」
「そしてまた殺されたくないなら」
それならというのだ。
「進め」
「強制労働でも同じや」
「逃げたら殺す」
「一回な」
「また殺されたくないなら働け」
「そうして使い捨てにする」
「刑期中に寿命が来たらそれまでや」
「穴でも掘って埋めるわ」
その屍はというのだ。
「葬ることもせん」
「ほんまそれでええわ」
「その通りやな」
「何で他の命や権利を粗末にする奴の命や権利が大事か」
メルヴィルは本気で首を傾げさせて言った。
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