金木犀の許嫁
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第四十話 昔の忍者その一
第四十話 昔の忍者
織田は佐京と夜空にさらに話した。
「あの頃、昭和十年代から二十年代のはじめはな」
「織田作さんが活躍されていた」
「あの頃はですね」
「今と小説が求めらるもんが違ってな」
「忍者ものもですね」
「荒唐無稽でな」
そうであってというのだ。
「それが忍者ものやてな」
「なっていたのですね」
「そや、妖術や仙術と変わらん」
「そうしたものが忍術でしたね」
「歌舞伎でもな」
こちらでもというのだ。
「ほんま蝦蟇使ったりな」
「児雷也ですね」
「そんな無茶苦茶なもんやったわ」
「何かです」
夜空はその話を聞いて言った。
「今だと有り得ないですね」
「忍者が仙人みたいに空飛ぶとかな」
「漫画でも今はないです」
「今の忍者漫画はリアルやな」
「やっぱりファンタジーですが」
それでもというのだ。
「仙術とは違います」
「そやな」
「ナルトなんていう漫画もありますが」
夜空はこの漫画を出した。
「それでアニメやゲームでも」
「忍者多いな」
「はい、ですが」
「私が書いたのとはちゃうな」
「昔の忍者漫画とも」
「ほんま時代によって変わるんや」
織田はまさにと話した。
「忍者ものもな」
「そうなんですね」
「他のジャンルもな」
「時代によって求められるものが変わりますね」
「そうや、しかも私は純文学となっててもな」
「少し違いますね」
夜空は確かにと言った。
「言われてみますと」
「そやろ」
「はい、どうも」
「大阪の人達を書いていてな」
そうであってというのだ。
「志賀さんや川端さんの作品とはな」
「違いますね」
「川端さんは同じ大阪生まれやけどな」
それでもというのだ。
「私とあの人はな」
「作風が違いますね」
「ほんま純粋な純文学とはな」
「織田作さんは違いましたね」
「言うなら大衆小説や」
そちらになるというのだ。
「ほんまな」
「そうですね」
「それでその大衆小説もな」
織田が書いていたそれもというのだ。
「時代によってな」
「違いますね」
「そや」
そうだというのだ。
「これがな」
「そうなんですね」
「今の大衆小説はちゃうやろ」
「はい」
佐京はまさにと答えた。
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