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星河の覇皇

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第八十七部第三章 港の整備その六十七

「親しんでいる料理を口に出来てもな」
「それでもですね」
「場所が違いますと」
「それが慣れ親しんでいる場所でないと」
「落ち着かない」
 そうだというのだ。
「どうしてもな」
「左様ですね」
「それで、ですね」
「旦那様としては」
「週末は屋敷に戻ってだ」
 カミュ家がオリンポスに持っているそこにというのだ。
「そうして休んでいる」
「そのうえで英気を養われていますね」
「この官邸におられず」
「そうされていますね」
「そうしている、さもないとだ」
 落ち着ける場所で落ち着かないと、というのだ。
「ストレスが溜まってな」
「よくないですね」
「だからですね」
「週末に屋敷に戻られますね」
「そこで休まれますね」
「寄宿学校にいる気分になる」
 首相官邸にいると、というのだ。カミュは高校までは名門の寄宿学校に通っていた。イギリスで言うイートン校の様な場所である。
「別に寮監も上級生もいないが」
「我々がいても」
「それでもですか」
「寄宿学校の様ですか」
「この官邸は」
「全く違う筈だがな」
 寄宿学校とは、というのだ。
「だがそうしたものをだ」
「感じておられますか」
「ここにおられると」
「そうなりますか」
「どうもな、学校のことはいい思い出だ」
 このことはというのだ。
「何もかもな、しかし家ではない」
「そこが大きな違いですね」
「自宅と寮はどうしても違いますね」
「同じ住む場所でも」
「左様ですね」
「千年前ならいざ知らず今の寮は個室だ」
 これは小学校からだ、プライベートを考慮してのことだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「やはり自宅ではないと」
「何かとありますね」
「くつろげないですね」
「そうだ、だから寄宿学校ではな」
 その中ではというのだ。
「私は常にだ」
「落ち着けずですね」
「くつろげなかった」
「いつも気を張っておられましたか」
「そうでしたか」
「そうだった、そしてだ」
 さらにというのだ。
「ここもそれと同じだ」
「全く違う場所でも」
「そう感じられますか」
「どうしても」
「そうだ、違う筈なのに同じ様に思う」
 カミュは考える顔で述べた。 
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