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猛虎の監督

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第六章

「本当にな」
「阪神も昔はそうで」
「暗黒時代だってな」
 一九八七年から二〇〇一年のその頃もというのだ。
「フロントも問題だったよ」
「あの時は色々言われていましたね」
「けれどな」
 それでもというのだ。
「フロントもよくなって」
「その分ですね」
「いいんだ、監督さんも安心してな」
 フロントの介入がない分というのだ。
「出来るんだよ」
「野球が」
「そうだ、それでな」
 川勝はここで笑顔になって言った。
「これから監督はな」
「藤川監督ですね」
「あの人になるな」
「決まりましたね」
「ああ、期待出来るな」
「期待するのがファンですよね」
「そうだ」
 川勝は笑顔で答えた。
「本当にな」
「そうですね」
「だからな」 
 それでというのだ。
「藤川監督にもな」
「期待すことですね」
「期待して勝って負けて」
 ペナントでというのだ。
「いい若手が成長して采配はどうか」
「いつも観ながら言いますね」
「そうしていくのがな」
「ファンの楽しみですね」
「あの人もファンなんだよ」
 今も目の前にいる川藤を見て言った。
「阪神の人だったけれどな」
「今はOBで有名ですね」
「あの人は根っからの阪神の人でな」
 そうであってというのだ。
「もう本当に阪神が好きなんだよ」
「そのことはよくわかりますね」
「俺達も同じだ、川藤さん程じゃないけれどな」
「阪神ファンですね」
「だからな」
 そうであるからだというのだ。
「これからもな」
「応援していくことですね」
「この甲子園に来てな」
 そうしてというのだ。
「応援していこうな」
「そうですね」
 呉は川勝のその言葉に頷いて応えた。
「これからも」
「ああ、そしてな」
「そして?」
「帰り何食おうか」
 呉に顔を向けて笑顔で言ってきた。
「それで」
「そうですね、焼肉どうですか?」
「焼肉か」
「甲子園の傍にある」
「あのお店でか」
「どうですか?」 
 川勝に笑顔で提案した。
「あそこで」
「いいな、金あるよな」
「今は」
「俺もだ、じゃあな」
「はい、あそこに行って」
「食おうな」
「そうしましょう、それじゃあ」 
 呉は笑顔で言った。
「これからのお店に行って」
「飯食おうな」
「そうしましょう」
 二人で笑顔で話してだった。
 そのうえで甲子園を後にするとその焼き肉屋で飯を食べた、その時も二人は阪神の話を熱く楽しくしたのだった。


猛虎の監督   完


                      2024・10・29 
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