アナーキズム
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第二章
「すぐに自省しろ、死ぬぞ」
「死ぬか」
「死ぬぞ」
「大丈夫や、あと自分さっき警察や軍隊の話したな」
「ああ、警察がなくてどうするんだ」
「ポリ公が一番いらんわ、交通安全とか言うたりな」
「じゃあ誰が悪人を取り締まるんだ」
「自由を邪魔してるだけや」
木与波羅は警察についてこう言った。
「ほんまな、軍隊かてな」
「警察と同じか」
「それでや」
そうした組織でというのだ。
「ほんまな」
「邪魔か?」
「そやろ、政府の犬になって動くやろ」
軍隊はというのだ。
「そやから警察と同じでな」
「いらないのか」
「そや、それで金もな」
こちらもというのだ。
「いらん、わし今金なくて借金しそうやしな」
「余計に思うのか?」
「わし何十億も稼いだけどな」
現役時代はというのだ。
「何処行ったんや」
「浪費したからだろ」
鍬田は木与波羅に眉を顰めさせて反論した。
「キャバクラとか行ってな」
「そんなん普通やろ、そういえば法律ないと奇麗な姉ちゃんに何しても不倫しても誰からも言われへんな」
「だから余計にいいのか」
「そや、ほんまな」
「自由がいいか」
「政府も法律も一切ないな」
そして金の心配もないとだ、木与波羅は古くからの友人である鍬田にこう言っていた、そしてある日だった。
アフリカのとある地域が完全な無政府状態に陥りまさに政府も法律もない状態になっていると聞いてだった、彼は大喜びで周りに言った。
「そこ行って来るわ」
「あそこにですか」
「ああ、そしてな」
満面の笑顔で言うのだった。
「わしあそこで暮らすわ」
「政府も法律もなくなっているからですか」
「金も意味なくなってるな」
「そうみたいですね」
「完全な自由や、そんな自由な社会でや」
そこでというのだ。
「わしは生きる、そやから移住するわ」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫って何がや」
木与波羅は知人に問い返した。
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