服はボロボロでも
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第二章
商談は無事まとまった、かなりの部屋で契約金もよかったので翔にとっては大きな成果になって社内でも評価された。
その後でだ、翔は義経に中華料理の高級店で一緒に飲み食いしながら話した。
「お前でなくてもどんな服でもな」
「お金さえ支払えるなら」
「いいってな」
その様にというのだ。
「思ってたし今もな」
「思ってるんだね」
「人を外見で判断するな」
こうも言った。
「それはな」
「守ってるんだね」
「父さんに言われたしな、実際お前みたいな仕事の人でな」
「身なりが関係ない仕事で」
「そんな人が来ることだって有り得るしな、それにな」
「それに?」
「金持ってるならな」
それならというのだ。
「ヤクザ屋さんだってあるしな」
「そうした人はお断りだね」
「ああ」
翔はフカヒレのスープを飲みつつ答えた。
「もうな」
「人によるんだね」
「マンションに入ってな」
「他の住人の人とトラブル起こしたら困るから」
「だからな」
そうであるからだというのだ。
「お金あってもな」
「そうした人はお断りだね」
「そうさ、問題は外見じゃなくてな」
「その人だね」
「お金のこともでな」
そうであってというのだ。
「そうしたことだよ」
「そうなんだね」
「このことはずっと守っていくな、ただな」
ここで翔は豚バラ煮込みを食べる義経に言った。
「お前ちゃんとした服は買え」
「ちゃんとした?」
「そのスーツだけれどな」
義経が今も着ているタワーマンションを買った時に着ていたそのスーツを見て言うのだった、どうにもという顔で。
「流石に十何年だろ」
「そうだよ」
「金あるしな」
「買えっていうんだ」
「普段外に出ない仕事でもな」
小説家でもというのだ。
「流石に金あったらな」
「服買うことなんだ」
「ああ、そうしたことも大事だぞ」
「そうなんだ」
「俺だってこのスーツ今年買ったものだ」
翔は自分が今着ている服の話もした。
「だからな」
「それでなんだ」
「ああ、お前もな」
「ちゃんと服買って」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「着ろ、金あるんだし十何年も同じ服着るとな」
「よくないから」
「ああ、流石にボロボロだしな」
「人を服で判断したらよくないよね」
「しかし身だしなみは出来たらな」
それを整えられたらというのだ。
「ちゃんとな」
「やるべきだね」
「ああ、だからな」
そうであるからだというのだ。
「買って着ろ、いいな」
「そうしないと駄目だね」
「世の中はな」
「そんなものだね」
「そんなものだ」
その通りと言ってだった。
翔は義経に具体的にどんな服がいいかを話した、そうして義経は後でベルサーチの服を買って着た。翔はそれでよしと言った。
服はボロボロでも 完
2024・10・26
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