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神々の塔

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第八十六話 たらし達その三

「女の人と遊んでも」
「無理強いはせんかったな」
「絶対にな」
 それこそというのだ。
「そうした話があってもな」
「実は事実無根で」
「遊ぶのは無名の芸者さんで」
「名のある人のお妾さんやない様にな」
「ちゃんと配慮してて人妻さんとなんて」
 そうしたことはというのだ。
「実際はな」
「絶対になかったな」
「たらしでも出来た人やった」 
「女の人についても」
「むしろ女の人にな」
「好かれる人やったな」
「明るくて気さくで剽軽で」
 そうした人物でというのだ。
「そやった」
「何かそう聞くとな」
 施は笑顔で言った。
「会うのが楽しみやな」
「そやろ」
「東洋のビスマルクと言われたそうやが」
「さらにな」
「上かもな」
「能力があって」
 しかもというのだ。
「そんな人やったさかいな」
「そう考えるとな」
「もうな」
 それこそというのだ。
「ビスマルクさん以上にな」
「出来た人やな」
「頭が柔らかいことはな」
「ポイント高いな」
「そやからな」 
 だからだというのだ。
「ビスマルクさん以上にな」
「凄いかも知れんな」
「むしろな」
「そこまでの人やな」
「それでいて漢詩も詠んで」
「教養もあってやな」
「これがどうも実はかなりの出来で」
 そうであってというのだ。
「詩人としてもな」
「よかったんやな」
「そうやったみたいや」
「風流もあってんな」
「そやねん」
 芥川は自然と笑顔になっていた、そうして施に対して伊藤のそうした一面のことをさらに話していった。
「これが」
「尚更おもろい人やな」
「そやな」
「日本そうした人がおったことは幸運やな」
「ほんまそう思うわ」
「最初あの人厳めしくてな」
 メルヴィルも笑っている、そのうえでの言葉だ。
「それでいで女好きで手のつけられん」
「そんな人やと思ってたな」
「けれどそれがな」
「厳めしいところなんてな」
「なかったな」
「仕事は自分からどんどん動いて」
「やっていってな」
 そうしてというのだ。
「しかも明るくて前向きでやんちゃで」
「場を明るくさせな」
「そんな仕事振りやったな」
「それで下の人等もな」
「ついてきたな」
「人望もあってん」
 これもまた人たらし故だと言われている。 
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