ホステスして悪いか
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第一章
ホステスして悪いか
町田房江は大学生である、だが実家がお世辞にも裕福とは言えないので学費や生活費は自分で稼いでいる。
昼は大学、夜はホステスをしている。波がかった長い黒髪で明るく整った顔立ちで眉は細長く奇麗である。背は一六二位で胸は九十はあり下半身のラインモいい。
その外見と笑顔、接客のよさから人気で学費も生活費も問題なく手に入れている。だが実家に帰ると両親は彼女に言った。
「大丈夫か?」
「大変じゃない?」
「昼は学校夜は仕事なんて」
「かなりね」
「大丈夫よ」
微笑んでだ、房江は両親に答えるのが常だった。
「体力はあるしちゃんと休み時は休んでるから」
「だからか」
「大丈夫なのね」
「そう、どうも仕事が合っていて」
ホステスのそれがというのだ。
「思ったより疲れないし」
「しかしな」
父はこう言った。
「ホステスだからってな」
「言う人いない?」
母も言ってきた。
「偏見持って」
「そんな人いないか?」
「今のところいないわ」
両親に平然と答えた。
「大学でもお客さんでもね」
「それならいいがな」
「世の中変な人もいるからな」
「悪いことしていないのよ」
所謂犯罪はというのだ。
「それならね」
「問題ないか」
「そうなのね」
「そうよ、何の問題もなくね」
それでというのだ。
「やっていってるから」
「わし等は安心していいか」
「あんたのことは」
「そうよ、安心して見ていてね」
両親に笑顔で言ってだった。
房江は昼は大学生夜はホステスとして暮らしていった、大学では彼女の仕事のことを知っていても悪く言ったり馬鹿にする者はいなかったが。
それでもだ、ある日店に。
お笑い芸人だというが最近はネットやテレビで碌でもない発言ばかり繰り返し批判の的となっているタレントが来た、見ればしかめっ面で四角い岩の様な顔をしている。
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