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名誉の負傷

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第二章

「それこそ何かあったら」
「アメリカは海兵隊ですね」
「あそこが動くけれど」
「あの人は海兵隊におられて」
「海外で多くの人を救助したことがあったんだ」
 そうしたことがあったというのだ。
「アメリカ人をね」
「それで、ですか」
「その時にね」
「お顔をですね」
「負傷して」
 そうしてというのだ。
「それでなんだよ」
「そうだったんですか」
「だからね」
 それでというのだ。
「あの傷はね」
「名誉の負傷ですね」
「そうだよ、多くの人を救ったことによる」
「そう思うと素晴らしいですね」
「人を救っての傷だからね、というかね」
 上司は大久保に話した。
「傷は誰だって受ける可能性があるんだ」
「私達も」
「そう、例え顔に傷が出来ても」
「それが悪いか」
「悪いことじゃないよ」
「そうですね」
「傷があってどうとか言うのは」
 このことはというのだ。
「それだけでね」
「人間としてどうか、ですよね」
「そうだよ、傷で人に偏見を持ったら」
「それだけで駄目です」
「本当にね、現にあの人は顔に傷があっても」
「心も行いも立派です」
「そうだよ。だからね」
 そうであるからだというのだ。
「私達もあの人を敬愛して」
「そうしてですね」
「親しくお仕事をしていこう」
「わかりました」
 大久保は上司に微笑んで答えた、そうしてだった。
 マックイールを人として敬愛しそのうえで共に仕事をしていった、彼との仕事は常に充実したものだった。そのことを常に心から喜んだのだった。


名誉の負傷   完


                 2024・10・20 
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