新オズのかかし
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第四幕その四
「残念だが」
「セドリックさんが来られるまで」
「それまでですね」
「このお屋敷は暗かった」
「伯爵さんと使用人さん達だけおられて」
「そうだったんですね」
「この子が来たからだよ」
伯爵さんは前を歩きながら自分の隣にいるセドリックを微笑んで観てお話しました。
「一変したんだよ」
「そうですね」
「その時からですね」
「このお屋敷が変わったのは」
「本当に一変しましたね」
「セドリックさんが来られて」
「わしはずっと暗く怒ってばかりだった」
その時のことを思い出して言うのでした。
「痛風でな」
「何か凄く痛いんですよね、痛風って」
ナターシャは痛風と聞いてこう言いました。
「どうも」
「足の親指の付け根がですよね」
ジョージも言います。
「物凄く痛くなるとか」
「万力で締め付けられるみたいで」
恵梨香はその傷み方のお話をしました。
「凄いって」
「それからちょっと人と肩が当たったりそよ風が当たっても」
そうなってもと言うカルロスでした。
「痛むって」
「それでまともに動けなくなって」
神宝も伯爵さんに言いました。
「大変なんですよね」
「そうだった、しかしそれもだよ」
その痛風もというのです。
「今はないしね、しかもセドリックがいるから」
「伯爵さんもですね」
「とても明るく暮らせていますね」
「そうなんですね」
「このオズの国に来て」
「そうなんですね」
「そうなのだよ」
まさにというのです。
「有り難いことにね」
「そうですか」
「それは何よりですね」
「痛風でなくなって」
「セドリックさんもおられて」
「それで明るくなれて」
「明るくかつ優しく寛容になれた」
また小公子を見て言うのでした。
「セドリックが来てくれてから」
「若しもだね」
かかしも言ってきました。
「セドリックが来なかったら」
「わしはずっとです」
「痛風で苦しんでいて」
「陰気で怒ってばかりでいてでした」
「そうして生きていたね」
「面白いことなぞ何も感じず」
そうであってというのです。
「本当に下らない」
「そんな人生だったね」
「そうでした、しかし」
「それがだね」
「この子が来てから」
今もセドリックを見て言いました。
「一変して」
「それでだね」
「幸せに過ごせる様になって今は」
「オズの国でだね」
「こうして一緒に暮らしています」
また小公子を見て言うのでした。
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