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新オズのかかし

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第四幕その二

「皆さんお待ちです」
「伯爵さんがね」
「お祖父様とお母さんがです」
「おられるのよね」
「はい」 
 そうだというのです。
「僕は」
「オズの国に来て」
「一緒に暮らしています」
「そうよね、それじゃあ」
「案内させて頂きます」
 こうお話してでした。
 皆で一緒にです、小公子に案内されてでした。まずは左右対称で薔薇や菖蒲、百合や菫で彩られてお池や噴水がある庭園を通ってでした。
 見事な宮殿を思わせるゴシックなお屋敷の前に来ました、そうしてお屋敷の中に入るとその中はでした。
「久し振りに来たけれど凄いね」
「そうだね」 
 臆病ライオンとジャックはお屋敷の中を見回してお話しました。
「お屋敷の中も」
「古風な木造建築で」
「ダークブラウンの色でね」
「しっかりした造り方で」
「凄くいいね」
「本当にね」
「階段だって立派で」
 そちらも観てお話するのでした。
「手すりの真鍮も金色でね」
「隅から隅までお掃除されていて」
「清潔でね」
「しかも上品で」
「絵も飾られていて」
「いい風景画だね」
「白いカーテンも清潔感があるしね」
 こうお話するのでした、そして古風な十九世紀の灯を模した蛍光灯がところどころにあって左右に扉が連なっている廊下の中を進んでです。 
 一行は応接間に案内されました、そこにグレーの髪とお洒落でかつ上品な口髭を生やして赤いベストと白いブラウスにダークグレーのスラックスと青いネクタイと黒い靴を身に着けたお年寄りの男の人と出会いました。
 お年寄りは微笑んでです、一行に挨拶をしました。
「お待ちしていました」
「お久しぶり、伯爵さん」
 ドロシーはこの人にも笑顔で挨拶をしました。
「お元気そうね」
「はい、この通りです」
 伯爵さんは笑顔で応えました。
「満足に歩けて乗馬もゴルフもです」
「楽しめているのね」
「テニスも水泳も」
 そうしたスポーツもというのです。
「若い頃の様に」
「そうなのね」
「いや、外の世界ではです」
 その頃はといいますと。
「痛風で辛かったですが」
「足が痛くて」
「もうそよ風でも当たると」
 その時はといいますと。
「痛くて仕方なかったですが」
「今はなのね」
「健康そのもので」
 そうした状態でというのです。
「スポーツを楽しめて孫もいまして」
「幸せなのね」
「心から」 
 とても明るい充実した笑顔での返事でした。
「そうです」
「それは何よりね」
「はい、そして」
 さらにお話するのでした。 
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