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性格がいいので付き合って

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第一章

                性格がいいので付き合って
 仏様の様だと言われている。
 斎藤菜月はおかめ顔で小柄で黒髪をボブにしている、外見はそうで兎角親切で優しく公平で良心的である。
 誰からもいい人と言われていて慕われている、だが外見は普通なので恋愛対象として付き合う人はいなかった。
 しかしだ、彼女が高校を卒業して就職してからだ。
「あんないい人いないから」
「告白するのか?」
「そしてはいって言って貰ったら付き合うよ」
 彼女と同期入社の小岩大二郎一七〇位の背で小さなきりっとした目で引き締まった顔と身体つきで黒髪を短くしている彼が別の同期に言った。
「そうするよ」
「確かに物凄くいい人だけれどな」
 同期は小岩に答えて言った。
「けれどな」
「外見はか」
「ああ、俺は好みじゃないからな」
「いいんだよ、人は顔じゃないだろ」
「性格か」
「それで性格がいいとな」
 それならというのだ。
「顔にも出るからな」
「人相か?」
「ああ、いいんだよ」
 こう言ってであった。
 小岩は菜月に告白した、すると菜月は自分でよければと返事をした、そうして小岩は彼女と付き合う様になり。
 やがて結婚した、菜月は結婚してからも性格は変わらず菩薩とさえ言われる程だった。それでだった。
 小岩は彼女と幸せな夫婦生活を送り子育ても見事なものだった。そして歳月が経つと。
 同期はお互い四十過ぎになってから小岩の家に行って久し振りに菜月と会うとだった。
 菜月は奇麗になっていた、非常によい顔の相でありそう言うしかなかった。それで自分と同じく年齢を感じさせる白髪と皺のある顔になっている小岩に言った。 
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