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星河の覇皇

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第八十七部第三章 港の整備その三十四

「非常にな」
「はい、粗末な食事でした」
「岩の様に固く蛆が湧いたパンとです」
「やはり蛆が湧き非常に塩辛い塩漬けの魚」
「若しくは粉の様になったビスケット」
「そういったものがなくなれば木屑を口にしていました」
 船の鼠なぞはご馳走であった。
「餓えは常に隣り合わせで」
「壊血病も常でした」
「多くの者が倒れました」
「そうした状況でした」
「そのことを思うとな」
 大航海時代のそれを参考にすると、というのだ。
「やはりな」
「食事は重要です」
「確かなものを食べる必要があります」
「左様ですね」
「その為にですね」
「栄養価も考えた食事ですね」
「それが必要だ」 
 まさにというのだ。
「この時代はそれが用意出来るからな」
「しかも量もあり」
「味覚面も考慮されている」
「そうした食事を提供出来ます」
「それも常に」
「それだけで非常にいいことだ」
 実にとだ、タンホイザーも述べた。
「だからな」
「はい、暗黒宙域の踏破は」
「はじまれば徐々にでもですね」
「順調に進み」
「犠牲もですね」
「事故等は起こるが」
 このことは避けられないがというのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「それは最低限のことで」
「多くの犠牲を出さずに済む」
「それはいいことですね」
「人間は経験と歴史から学ぶ」 
 その両方からというのだ。
「愚者は経験から学びだ」
「自分は歴史から学ぶ」
「ビスマルクの言葉ですね」
「よくそう言われますね」
「その様に」
「そうだな、しかしそのビスマルクもだ」
 愚者は経験から学ぶと言った彼もというのだ。
「おそらくだが」
「経験からもですね」
「学んでいましたね」
「左様でしたね」
「そう思う、経験がないと誰でもだ」
 それこそというのだ。
「わからない、俗に私も天才と言われるな」
「はい、戦術においては」
「閣下はまさに天才です」
「エウロパの歴史上最高の戦術的天才です」
「見事なまでに」
「だが何も知らなくてだ」
 真っ白な、サルトルの言うタブラ=ラサな状態でというのだ。
「何か出来るか」
「それはですね」
「無理なことですね」
「到底」
「流石にそれは」
「出来るものではない」
 タンホイザーにしてもというのだ。 
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