神々の塔
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第八十五話 第六天魔王その二
「それでやね」
「そう言うてはったわ」
「そやね」
「秀吉さんがそう言う位な」
「信長さん優しかったね」
「それでな」
芥川はさらに話した。
「実際信長さん領民が寝てるの見ても」
「怒ることなくて」
「軒下で寝てたからな」
「外で寝られる世の中にするって」
「そう言うてたから」
だからだというのだ。
「ほんまな」
「優しい人やったね」
「無体なことはせんで」
そうであってというのだ。
「領民はほんまにな」
「慕ってたね」
「そやった」
「わかる人はわかってたってことやね」
「うつけとも言われたけどな」
若い頃はというのだ。
「あれもな」
「ただ傾いてただけで」
「あの人は傾奇者やったんや」
「当時の流行で」
「そうした人でな」
「よお見たらわかったね」
「行いや服装は傾いていても」
若き日の信長、うつけと呼ばれていた彼はというのだ。
「その実はな」
「ちゃんと学んでいて」
「後につながってたわ」
「そやったね」
「傾いていたことをな」
それをというのだ。
「うつけと言ったんはな」
「間違いやったね」
「周りはな、ただな」
それでもというのだ。
「わかりにくかったのは事実や」
「傾くってことが」
「当時は最先端の流行やったし」
「信長さんはそれをやってただけにしても」
「それでもな」
「わかりにくかったんで」
「多くの人がうつけと思ったんや」
そうだったというのだ。
「そやけどその頃から統治はよおて」
「領民の人達には慕われてて」
「それでな」
そうであってというのだ。
「後に家臣の人達もや」
「ついていったね」
「苦し戦が続いても」
本願寺を中心とした包囲網を敷かれてだ、浅井家及び朝倉家と戦い信玄が動いた時が最も苦しい時だっただろうか。
「それでもな」
「多くの人が離反せんかったし」
「そのことを思うとな」
「人望があったし」
「優しくもあったわ」
「残酷でもなかったし」
「実際家臣の人が不始末しても」
それでもというのだ。
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