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星河の覇皇

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第八十七部第三章 港の整備その二十三

「これを飲みな」
「楽しまれますね」
「そしてデザートの時もな」
「そのワインを飲まれますね」
「そうする」  
 気品のある貴族らしい仕草でワインを飲みながら述べた。
「ジャガイモとワインとな」
「その二つがですね」
「私は好きだ、それとだ」
 タンホイザーはさらに話した。
「明日の朝はな」
「はい、オムレツとですね」
「ソーセージをだ」
 またシェフに話した。
「頼む」
「その二つは絶対ですね」
「朝はこの二つがないとな」 
 タンホイザーにしてみればだ。
「どうしてもな」
「物足りないですね」
「他のものは日々によって違うが」
「旦那様にとってはその二つは」
「朝には欠かせない」
 そのオムレツとソーセージはというのだ。
「だからいいな」
「明日の朝もですね」
「用意しておいてくれ」
「承知しました」
「朝にその二つを食べ」
 当然他のものもだ。
「そしてだ」
「明日もですね」
「奉職する」
 国家のそれにというのだ。
「その様にする」
「そうされますね」
「明日もな、だが当家の食事は伝統的に美味いが」 
 ここでだ、こうも言ったタンホイザーだった。
「私が食べたいと思っているが」
「それでもですか」
「食べられないものがある」
「それは何でしょうか」
 エリザベートは妻に問うた。
「一体」
「スウェーデンの料理、いや缶詰だな」
「あのシュールストレミングですね」
 エリザベードはスウェーデンの缶詰と聞いてすぐにこの名前を出した。
「左様ですね」
「あれを一度食べたいと思っているが」
「それでもですか」
「まだな」
「はい、あれはです」
 そのシュールストレミングはとだ、エリザベートはタンホイザーに落ち着いた声でそのうえで話した。
「悪臭で有名であり」
「そしてだな」
「取り扱いにも注意が必要なので」
「そうそうはか」
「食することはです」
 それはというのだ。
「出来ません」
「それでだな」
「旦那様もです」
「食べられないか」
「残念ですが」
「そうか。だが機会があればな」
 その時はとだ、タンホイザーは妻に返した。
「是非だ」
「召し上がられますか」
「そうしたい、だが幾ら悪臭がするといってもだ」
 タンホイザーはそのジャガイモ料理を食べつつ話した。 
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