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新オズのかかし

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第二幕その十

「ウィンキーは今僕達が暮らしている国だからね」
「よく知ってるよ」
 そのウィンキーの皇帝である樵が応えました。
「本当にね」
「そうだね、道もね」
「交通手段だってね」
「よく知っているよ」
「そうだね」
「まさにね」
 それこそというのです。
「すぐにだよ」
「彼等のところに行けるね」
「うん、ただね」
 ここで、でしだ。樵は少し困った様な顔になってかかしに言いました。
「皆オズの国の市民でウィンキーのそれだから」
「ああ、ドロシーにも君にもね」
「しかもどの人も礼儀正しいからね」
「物凄く恭しくね」
「君に会うと挨拶するね」
「そのことがね」
 どうにもというのです。
「困るよ」
「そうだね」
「うん、僕としてはね」
「砕けて欲しいね」
「礼儀作法は大事でも」
 それでもというのです。
「そんなに畏まらなくてもだよ」
「いいね」
「そういえば今回お会いする予定の人達は誰もが礼儀正しいね」
 ジャックも言われて気付きました。
「そうだね」
「僕は確かに今は皇帝だけれどね」 
 樵はジャックにも言いました。
「けれど元々は」
「樵さんだよね」
「普通のね、そして今だってね」
「樵さんだね」
「身体はブリキのものになって」
 そうしてというのです。
「皇帝になったけれど」
「君は君だね」
 かかしが笑顔で言ってきました。
「そうだね、僕はかかしでね」
「そう、樵だよ」
「そのことは変わらないね」
「変わる筈がないよ」 
 それこそというのです。
「オズマやドロシーみたいにね」
「そう言う私だってカンサスの娘よ」
 今度はドロシーが笑って言いました。
「何か神様みたいにね」
「恭しくして欲しくないね」
「幾ら礼儀正しい人達でもね」
「そうよね」
「そう思うよ」
「そうだね、しかしどの人もね」
 かかしはお会いする人達のことをお話しました。
「ちゃんとした立派な教育を受けてきたから」
「それでなのね」
「そう、だからね」
 ドロシーにその為にと言います。
「僕達はこう思っていても」
「それでもよね」
「礼儀作法を身に着けていると」
「それが出るのね」
「いい意味でね」
「いい意味なのね」 
 ドロシーはかかしの今の言葉に目を瞬かせて尋ねました。
「そうなの」
「そうだよ、やっぱり礼儀正しいなら」
 かかしはそれならと答えました。
「それに越したことはないよ」
「そうなのね」
「だからね」
「いい意味になるのね」
「そしていいことにね」
 そうもというのです。 
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