彼は いつから私の彼氏?
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4-3
夕食の後、お母さんが
「水澄 土曜日 お洗濯と廊下とかにワックスかけてね」
「あっ 土曜日は練習がー 新入生だけ特訓なの」
「あっ そう じゃぁ 日曜日にね」
「はい ・・・でも・・・」
「お母さん 水澄は日曜は 俺の応援に来ることになっているんだ」
「そうなの 応援って何よー」
「うん 地域の交流試合 ほらっ 新メンバーになったろー? その手合わせみたいなもん」
「ふ~ん どうして それに水澄が?」
「そりゃー 俺の妹だからー 俺は今年 バイスキャプテンなんだぜー あのー だから 帰ってきたら 二人でワックスはやるよー」
「お母さん お洗濯は学校に行く前にやります 夕方には帰れるはずだから、取り込みも間に合うと思うわ」
「そう お願いね」
お風呂から出て、お兄ちゃんの部屋に出たよって言いに行った時
「なぁ この頃 お母さん 私に厳しない? 用事ばっかー言いつけて」
「・・・まぁ 水澄も中学生なんやから 女の子ってそんなもんよって思ってるんかなー 女の子やから家事のこと何でもできるようにーとか」
「だって 私やって お母さんの言う通りに 太子女学園に入って あそこ 勉強やって みんなに負けたらあかんし クラブやって・・・大変なんやー」
「うん そーやろなー 進学校やしなー ぼーぉーとしてる奴なんて居らへんねんやろうなー」
「そーやねん 毎日が戦争みたいや 隣は頭のええ子ばっかーに見えてーしもぉーてー 私はたまたま・・・」
「水澄 俺に比べると、お前はすごく頭が良いんだと思うよ 普通にしててもな 自信持てよー そうだ 日曜日 試合の応援に来いよな 翔琉も居るし」
「えぇー 何で 翔琉が ぁー?」
「水澄 知らなかったんか? あいつ サッカー部に入ったんやでー」
「えっ えぇー・・・ 最近 話 してへんねん・・・」
「だろうな 試合の後 少し デートでもしろよー あいつは まだ試合には出られへんやろけどー」
「お兄ちゃん それで さっき 応援にって・・・」
「まぁ 可愛い妹の初恋だもの 手助けになれば」
「お兄ちゃん いつも ありがとう 大好きだよ! 御兄様ぁー」と、抱き着いていたら
「よせっ ・・・ まだ 汗臭いんだからー」と、照れてお風呂に行ったのだ。
お兄ちゃんはああ言っていたけど、私は引っかかっていたのだ。お母さんは、私から時間を奪ってー・・・そう もしかして 翔琉君と会わせないようにしているんじゃないかと。理由はわからないけど・・・太子女学園を急に受けさせたりして・・・彼と引き離そうとしている・・・の だろうか
日曜日に隣町の運動公園に出掛けて行って、サッカークラウンドに。私が遅れてしまったのか、もう、お兄ちゃん達のチームは試合が始まっていた。グラウンドの隅っこの方では、翔琉も黄色いベストを付けてジョギングをしているのが見えた。グラウンドの中ではお兄ちゃんも硝磨君も走り回っていた。試合は、どうもお兄ちゃんのチームが0-1で負けているみたいで、私が応援の声を出すと、グラウンド反対側に居た翔琉が気づいたみたいで、手を挙げていたのだけど、私は、この時 お兄ちゃんに声を掛けたので、どうでも良かったのだ。でも、そのお陰かどうか 前半終了間際に、硝磨とお兄ちゃんの連携でシュートが決まっていた。終了時には、もう1点取って2-1で勝っていたのだ。
試合が終わって、次の試合が始まっても、私はグラウンドの縁に座り込んでいると、お兄ちゃんと硝磨君が寄ってきて
「水澄ちゃんの応援のお陰で勝てたよー お礼にハンバーグでも食べに行くか?」
「硝磨 いいんだよー ほっとけ」と、お兄ちゃんは硝磨君の腕を取って「水澄 門限4時な ワックス掛けあるからー」と言い捨てて、連れて行ったのだ。私には、もったいないぐらいのお兄様なのだ。
しばらくして、ポツンと座っている私のもとに翔琉君がやってきて
「しばらく振りやのー ちょっと やつれたんかぁー」十蔵も一緒だったんだけど、気を利かせたのか、別れて帰って行ったみたい。
「そんなんちゃうけどなー ちょっと 精神的になー」
「兄貴から聞いた 卓球部に入ったんやてー?」
「うん やってみようと思ってなー」
「やってみようってー 辛いのか? あそこ 大変やろー トップクラスやん」
「そーみたい でも 頑張ってみる」
「水澄はなんで そんな きついとこにばっかー 飛び込んでいくネン?」
「ふふっ 何でやろねー そーいう 運命になってしもーたんやろか」
「何 他人事みたいにゆうとんネン 何か食べにいこーか?」
「ステーキ お好み焼きのん」
「そーかー 女の子って 好きやもんなー」
駅の近くでお好み焼きのお店を探して、食べながら
「なぁ やっぱり 別の中学に行くと会うの難しいんなぁー」
「まぁ 生活リズムも違うしなー」
「私 間違ったんやろか 翔琉と会えんよーなるし 卓球部にも入ったから帰りも遅くて・・・誰かが駅まで迎えに来るから・・・会う訳にもいかんしー」
「そんなことないやろー 有名女子校に行ってるんやしー 卓球やって自分を伸ばす為やろーぅ がんばれやー」
「だってさー・・・ 翔琉と・・・最近ね 日曜日だってね お母さんがね 翔琉と会うのを避けさせてるみたいでー 辛いネン」私は、泣きそうになっていた。
「ふ~ん 裸の水澄を抱いたのばれたのかなー」
「それは無いと思う 誰にも言って無いし 二人だけの秘密やからー」
「水澄のとこは名門やろー 男のことで変なウワサになるのを避けてるだけちゃうかー? あのさー 朝は? 毎日はちょっと辛いけどー そう 金曜だけなら 俺 早い目に家を出て駅に行くよー 少しだけでも会えるだろう?」
「・・・ほんま? ・・・悪いよー」
「そんなのー 好きな女の子の涙 見るくらいならー 平気だよ! 何時の電車だ?」
「うん 7時3分の準急」
「わかった じゃー 15分前で良いか? 金曜日」
「うん ・・・ ありがとう・・・何か TVドラマみたい (金曜日の15分だけのデート)」
「ちゃかしてる?」
「そんなことないよー 翔琉 だ~ぃ 好き」と、私 ルンルン気分でお兄ちゃんとの約束の4時に間に合うように急いで帰って行ったのだ。
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